人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第36回 (2022)
選択された号の論文の727件中1~50を表示しています
  • 竹内 瑞生, 今福 太一, 阪井 優太, 後藤 正幸
    セッションID: 1A4-GS-2-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    昨今,オンラインサービスの会員アカウントに紐付いた属性情報を活用したマーケティングが広く行われている.しかし,アカウント登録をせずにサービスを利用する非会員ユーザの方が大多数であることが一般的であり,これらの非会員ユーザに対して属性情報を活用した施策が行えないという問題がある.このような状況に対して,属性情報がある会員ユーザの履歴データから,非会員ユーザの履歴データも利用して属性を予測し,属性情報の数を増やす半教師有り学習が有効である.この半教師有り学習の手法に,ノイズの付与と除去を行う手法であるLadder Networkがある.この手法は画像データに対して高精度な予測モデルであり,特徴量が高次元になる履歴データからのユーザ属性の予測モデルにも有用であると考えられる.しかしこの手法では,ユーザの年齢区分のようにラベルに順序性がある場合に,それを考慮した学習を行うことができない.そこで本研究では,Ladder Networkをベースとし,ユーザの属性情報を適切に予測可能な仕組みを組み込んだモデルを提案する.また,実際の閲覧履歴データを用いて評価実験を行い,提案手法の有効性を示す.

  • 奥田 遼, 村田 昇
    セッションID: 1A4-GS-2-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    推薦システムは 5 段階評価値のようなユーザーと対象間の関係を示すデータや対象間類似度を用いてユーザーと対象にベクトルを割り当てる.そして,未知の対象へのユーザーの嗜好性をその対象とユーザー間の距離に基づき予測する.対象間類似度には様々な種類が存在し,それらを深層ニューラルネットを用いて特徴量に変換した後に混合し,推薦システムの性能を向上させた既存研究が存在する.しかし,深層ニューラルネットの機構は複雑なため,各ユーザーが重視する類似度の分析が難しい.本研究では類似度の混合に対象のベクトルの混合を直接対応させつつ,各ユーザーに対し類似度の混合比の予測と対象のベクトルを計算するモデルを提案する.加えて,解釈可能な混合が精度を向上させることを実験的に示す.

  • 米田 安希子, 松苗 亮汰, 山下 遥, 後藤 正幸
    セッションID: 1A4-GS-2-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    クリックや閲覧などの行動履歴,すなわち暗黙的評価のデータを対象とした推薦モデルとしてCollaborative Metric Learning(以下,CML)が知られている.CMLでは,ユーザとアイテムの関係性に加えて,ユーザ同士,アイテム同士の類似性などを埋め込み空間で表現し,この空間上でユーザとの距離が近いアイテムを嗜好に合致しているものとして推薦する.しかし,CMLは多くのユーザに人気のあるアイテム(メジャーアイテム)に偏重した学習が行われてしまい,その他のマイナーアイテムの埋め込み表現の精度が軽視される傾向がある.一方,ユーザが認知していなかったような意外性のある推薦を行うためには,ユーザの嗜好に合致したマイナーアイテムの埋め込み表現を精度良く学習することが必要となる.そこで本研究では,暗黙的評価の観測数に応じた重み付けをすることで,ユーザの嗜好を捉えた埋め込み表現を学習し,マイナーアイテムも含むような意外性のある推薦を可能とする手法を提案する.最後に,実際の映画評価データに提案手法を適用し,ユーザの嗜好を考慮した意外性のある推薦における提案手法の有用性を示す.

  • 土屋 希琳, 坪井 優樹, 清水 良太郎, 後藤 正幸
    セッションID: 1A4-GS-2-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    近年,動画配信サービスでは顧客獲得の競争が激化しており,視聴履歴データ分析による施策検討は重要である.一般に,動画作品(アイテム)は,日用品等とは異なり視聴(消費)後のユーザのリアルタイムな興味に強く影響を与える.つまり,アイテム消費後のユーザの興味は,アイテムがユーザの興味持続期間に与える強い影響(アイテム下の興味持続期間確率)によって決定されると考えられる.従って,自社サービスを長期的に利用してもらうためには,アイテム下の興味持続期間確率に基づくアイテムの選択や評価が重要である.ユーザの興味持続期間を考慮しながら,ユーザが次に消費するアイテムを予測するためのモデルとして,隠れセミマルコフモデル(HSMM)が提案されている.HSMMによって推定されるパラメータを用いてアイテム下の興味持続期間確率を算出・分析できれば,従来モデルでは得られなかった重要な知見の発見が期待できる.そこで本研究では,HSMMの特性を活用し,アイテム下の興味持続期間確率の分布を用いたアイテムクラスタリングによる分析プロセスを提案する.また,実際の動画配信サービスの評価履歴データに提案手法を適用し,有用性を示す.

  • 髙久 雅史, 浦野 晶一
    セッションID: 1A4-GS-2-05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    近年、音声認識技術は音声翻訳やコールセンターなど、生活の様々な場面で用いられており、その中でも、人とコミュニケーションが取れる「Pepper」などのロボットでは、話者の感情を分析して行動の支援を行うための人工知能が搭載されている。しかし、正確に話者の発言や感情を読み取ることが出来ず誤認識が発生するなどの課題もある。本研究では、音声波形全体を分析して感情ごとの音声データの特徴を抽出し、高精度な音声の感情分類モデルを作成することを目的とする。筆者らは、これまでに音声認識研究の課題である使用するデータの量や活用方法に注目したうえで、音声データからケプストラム分析によって得た特徴量であるフォルマントを高次まで用いて、決定木による感情分類モデルの作成と評価を行ってきた。本稿では、分類手法として機械学習的手法であるニューラルネットワークを適用した感情分類モデルの作成と評価をし、感情分類の精度向上を目指す。また、分類手法として決定木を適用して作成した分類モデルとの比較検証を行う。

  • 細川 蓮, 小川 祐樹, 上田 健太郎, 諏訪 博彦, 梅原 英一, 山下 達雄, 坪内 孝太
    セッションID: 1A5-GS-2-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    将来の株価変動を予測することは,投資家にとって,投資における損失を回避するために非常に重要である.株式市場の全体のリスクを表す指標の一つとして,VI指数がある.VI指数の高さは,価格変動の可能性を示唆しており,VI指数の上昇を予測できれば,将来の株式市場の価格変動を予測できる可能性がある.また,社会の出来事や他者の意見は人々の投資行動に影響を与え,これらはVI指数にも関連があると予想される. そこで本研究では,株式掲示板によるソーシャルメディアの投稿内容と新聞メディアの記事内容を用いたVI指数の上昇を予測するモデルを提案する.

  • 位田 奨, 松井 藤五郎
    セッションID: 1A5-GS-2-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    本研究では、複利型深層強化学習において、投資比率を最適化する方法と報酬の分散(リスク)を考慮して行動を習得する方法を提案する。現在、強化学習を金融取引に応用する研究が盛んに行われている。複利型強化学習は、利益率の複利効果を最大化する行動を習得することを目的とした強化学習の枠組みであり、パラメータとして投資比率が存在する。この投資比率を最適化することで利益率の複利効果を最大化できる。深層強化学習を複利型に拡張した研究が存在するが、その研究では投資比率が0以上1以下の範囲で適当な値に設定されており、利益率の複利効果を最大化することができない。そこで本研究では、複利型深層強化学習に投資比率を最適化するネットワークを追加する手法を提案する。また、複利型強化学習においては行動選択の際にリスクを考慮することができないという問題がある。そこで本研究では、報酬の分散をリスクとして考慮して行動を取得する方法を提案する。

  • 吉田 健一
    セッションID: 1A5-GS-2-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    株価予測のための教師ありニューラルネットワークが多く提案されている。 最近の研究では、Attention mechanismを使用し、時系列データの重要部分を抽出し予測精度を向上させる方法が多く用いられている。 このAttention mechanismの利点は、さまざまな実験結果に基づいて実証されているものの、 これらの研究とCOncept Drift研究との関係は十分議論されていない。 本論文では、この関係について議論する。 複数の概念の共存と移行、およびConcept driftの網羅的な分析が、この論文で議論されている主要なトピックである。

  • 菅原 康平, 保住 純, 和泉 潔
    セッションID: 1A5-GS-2-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    マーケットインパクトを予測することは、すべてのトレーダーにとって、執行戦略の策定や評価のために重要である。過去には、過去の取引データからマーケットインパクトを推定する研究や、指値板をモデル化することで間接的にマーケットインパクトを計算する研究が行われてきた。しかし、これらのモデルは極めて一般的であり、実用性に欠ける。一方、近年では、マーケットインパクトを考える上で重要な要素である指値板の分析に深層学習が利用されている。しかし、これらの研究の主な目的は、株価予測や取引にかかる執行コスト全体の最適化であり、マーケットインパクトのみの評価を行った例は少ない。そこで本論文では、深層学習を用いたマーケットインパクトの評価モデルを新たに提案する。まず、板情報に基づいて株価を予測し、その予測値を用いてマーケットインパクトを評価する。実験を通じて、本手法によって算出されたマーケットインパクトが、既存研究と整合的であることが確認された。またこのことは深層学習による板解析がマーケットインパクト算出という観点において意味のある情報を捉えていることを明らかにした。

  • 竹中 幹, 浦野 昌一
    セッションID: 1A5-GS-2-05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    近年、インターネットの普及により企業に関する膨大な情報が容易に入手できるようになり、投資家は情報の収集よりも情報を分析し株売買の意思決定をすることに注力できるようになってきている。しかし、これらすべての膨大なデータを目視で分析するのは困難である。したがって近年、膨大なデータを自動で分析することのできる機械学習が注目されている。本研究ではニュース情報を活用した高精度な株価予測を目的とする。著者らはこれまでにニュースのセンチメント分析の高精度化を目的として機械学習を用いてニュースのセンチメント分類器の構築を報告してきた。そこで本稿では、BERTを用いて構築した分類器でニュースを、ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルに分類し、分類結果のポジティブとネガティブを株価データに組み込むことでニュースの影響を考慮した株価予測モデルを提案する。シミュレーションにより提案法の有効性を比較検証することで高精度な株価予測を目指す。

  • 石曽根 毅, 樋口 知之, 中村 和幸
    セッションID: 1D1-GS-2-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    深層時系列生成モデルは,将来予測や未知の観測時系列の生成,時系列異常検知など幅広いタスクに応用されてきている.本報告では,深層時系列生成モデルのうち,逐次変分自己符号化器と呼ばれるモデルに焦点を当て,逐次ベイズフィルタリングを用いて効率的に学習するフレームワークを提案する.類似の先行研究では,対数周辺尤度の下界である ELBO を理論的により厳しく評価することができるが,実用上は潜在空間における粒子の広がりが小さいなど複数の課題があった.提案フレームワークでは,実用面に重きを置くことで,これらの課題を克服できており,実験的にも予測精度の面で先行研究を凌駕する性能を発揮したことを報告する.

  • 長沼 大樹, 藤森 岳, 武内 茉莉, 長瀬 准平
    セッションID: 1D1-GS-2-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    自然勾配学習法の高速な近似手法の開発により、高い収束性を持つ二次最適化が深層学習においても用いられている。二次最適化においては、情報行列の逆行列計算が必要となるが、一般に深層学習の問題設定では情報行列は退化する。そのため、ヒューリスティックスとして、定数倍された単位行列を足し込む dampingと呼ばれる手法が用いられている。本研究では、Levenberg-Marquardt法による damping決定方法から着想を得て、dampingをスケジューリングする手法を提案し、その効果を検証した。

  • 市毛 竣, 五十嵐 治一, 石原 聖司
    セッションID: 1D1-GS-2-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    近年のAIに関する課題として,機械学習の推論結果の内部のブラックボックスが挙げられる.その解決アプローチとして,人間の主観に沿うルールにより行うファジィ制御と強化学習の融合は有効な手法だといえる. ファジィ制御と強化学習の融合方式は以前から多くの試みがあった.五十嵐らはファジィ制御ルールを方策に持つ方策勾配法を提案した.そこではルール重みやメンバーシップ関数内部パラメータの学習則を述べている. 本研究では,自動車の速度制御問題の事例において,メンバーシップ関数をシグモイド関数で近似し,シグモイド関数内のパラメータ及びルール重みの学習を行った.学習実験の結果,適切なパラメータ値を得ることを確認した.しかし,この場合もメンバーシップ関数の概形は人間が設計していた.そこで,メンバーシップ関数をニューラルネットワークで近似し,適切なメンバーシップ関数の形状をゼロから学習できるか試みた.学習実験の結果,ランダムなパラメータの初期値から人間が設計したメンバーシップ関数の形状によく似た関数形を得ることができた.これは,本学習方式により,人間のファジィ的な概念をゼロから獲得できることを示唆している.

  • ホーランド マシュー
    セッションID: 1D1-GS-2-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    学習システムの性能の本質は単なる「損失の算出」ではなく、その「汎化能力」にある。概念的にこれは当然のことだが、「汎化能力を実際にどう測るか」という問いは決して自明ではない。しかし、特に統計的機械学習の研究分野では「汎化能力は損失の平均値に決まっている」という考え方が問われない「常識」として完全に定着しており、学習システムが設計の段階から平均的な性能に偏重していることが客観視できない状況であるとさえ言える。 そこで本研究では、汎化能力の本質は損失の分布に宿るという考え方を起点として、学習システムの本来の目的と望ましい損失分布の整合性を求める次世代の学習アルゴリズムの設計法を探求するにあたり、従来の汎化指標で表現できない損失分布の性質を捉える指標クラスを構築し、クラス間の特性を入念に検証した上で、「リスクの制御」が多クラス識別誤差という観点でも学習過程の安定化と効率化に寄与することを確認した。

  • 小松 史弥, 竹川 高志
    セッションID: 1D5-GS-11-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    近年,機械学習により様々なデータ活用が可能になった.一方,データの利用機会が増加することで,機械学習モデルからのデータ侵害について指摘されている.例えば電子メールの作成中に,入力候補を提示してくれるモデルについて考える.ユーザーが作成したメールの本文を用いて学習し,次に入力する候補を予測して生成する.このモデルでクレジットカードに関するテキストをユーザーが入力したとき,学習に用いられた誰かのクレジットカード番号が提示されてしまうことはデータ侵害である.本研究ではデータ侵害対策として,TensorFlow Privacyというライブラリで提供されている差分プライバシーを満たした最適化アルゴリズムであるDP-Adamを用いて,RNNによるテキスト生成タスクに取り組んだ.ここで個人情報に見立てたダミーデータの暴露を防ぐことができるかを実験した.結果,差分プライバシーを満たしたモデルではダミーデータ暴露の回避が確認できた.また過学習対策として用いられるL1正則化でもダミーデータの暴露が回避された.しかし,L1正則化モデルが生成したテキストには,存在しない単語が含まれていた.

  • 三井 康行, 山越 悠貴, 佐藤 寛之
    セッションID: 1D5-GS-11-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    在庫配置最適化問題は,複数の倉庫を運営するEC事業者が倉庫間における商品配置を効率化するという問題であり,配送費および在庫に係るコストを削減する目的において非常に重要である.本問題における目的関数は数式表現が困難な部位があり,特徴把握が難しいため,解法としてブラックボックス最適化手法である進化計算が適している.その中でも,倉庫の容量等の各種制約を考慮しつつ,配送費と在庫に係るコストの両方を同時に最小化するために,多目的進化計算手法である制約付きNSGA-IIを適用する.通常の進化計算では,交叉処理がランダムで行われるため,優良な解における特徴的な構造が損なわれる恐れがある.そこで,解構造の維持を目的として,交叉処理を商品別あるいは倉庫別に行う方法を提案する.進化の推移について提案手法と従来手法である一様交叉とを比較し,提案手法の有効性を確認する.

  • 松沢 敬一, 早坂 光雄
    セッションID: 1D5-GS-11-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    技術開発の国際的連携が進むと、国や地域をまたぐ技術情報を含むデータ移動が生じ、輸出管理関連に意図せず違反するリスクがある。本研究では、データ移動における輸出管理法令違反リスクを軽減する技術の確立を目的に、技術文書と法令文の関連付けと、同関連付けの結果を用いて法令違反となるデータ移動を未然に防止するデータ管理方式を提案する。提案手法では、日本語における技術文書と法令文の語彙の違いに対応するため、両文章の日英対訳を介して英文中の単語から類似度を算出する。本手法の試作では技術文書の概要文から米国再輸出規制の関連技術項目を73%のケースで対応付けられることを確認した。今後本機構をデータ管理機能と連携することで、意図せぬ技術情報の不正輸出を防止する法規制対応データアクセス管理を実現できる見込みを得た。

  • 山崎 知巳
    セッションID: 1D5-GS-11-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    産学連携は進化する。デジタル融合時代、特にAIが様々な分野に広く普及・浸透する近年、産学連携はその効率や効果を追求し、研究者自身がアカデミアと企業の顔を持って産学の橋渡しを行うケースが一定数観察できるようになっている。そこで本研究では、産学連携の中でもそのような一人で産学連携を行う研究者(『両利き研究者』と呼ぶ)に焦点を当て、産学共著論文のインパクトについて研究を行うこととした。研究ではScopusを論文データセットとして用い、高被引用論文を抽出して分析を行った。 その結果、上位の高被引用論文の母集団において、産学共著論文、中でも『両利き研究者』を著者に含む論文の被引用数が有意に高くなっていることが確認された。本論においては、その分析方法を提案しつつ、定量的に産学共著論文のインパクトを提示する。

  • 田中 文英, 野口 洋平
    セッションID: 1F1-GS-10-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    独居世帯が増えていく社会においては、人々の孤立・孤独への対策が重要になる。今後、家庭用ロボットや、携帯端末にインストールされるエージェントアプリなどがより普及していくことが予想され、それらは人々を孤立や孤独から救うための人工知能を備えたものになっていくはずである。本論文では、著者らがこれまで研究開発を続けてきている、人と人のコミュニケーションを仲介・促進し、人々の社会的孤立を抑制していく人工知能技術について紹介する。これまでの所、具体的なターゲットとして独居高齢者を想定し、高齢者を孤立させないように他者とのコミュニケーションを仲介・促進するユースケースを対象としているが、技術の枠組自体は若年齢層を含む幅広い年齢層に共通すると考えている。1000人規模の高齢者を対象とした調査研究の結果に基づく対話AIの設計指針から、非言語情報を用いた介入手法に到るまで、複数の研究成果を報告する。

  • 三戸 大輝, 浅谷 公威, 三浦 崇寛, 坂田 一郎
    セッションID: 1F1-GS-10-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    近年、科学全体におけるトレンドとして、中国における研究の存在感の上昇があげられる。中国は研究者数、また研究数が共に爆発的に増加しているほか、引用数が高い論文の割合も増加しており、質の面での向上が見受けられる。この背景として、中国のウミガメ政策により海外での研究を経て帰国した研究者(以下帰国研究者)が帰国後も高い研究パフォーマンスを挙げていることが先行研究より明らかとなっている。しかし、帰国研究者が質の高い研究を行うことで直接的な影響を与えていることは確かであるが、中国の研究者全体から見るとその数は少数であり、中国研究全体の質の向上を説明するには至らない。帰国研究者の中国研究への包括的な影響を考える上では、国内で研究することによって中国研究に与える間接的な影響についても考慮することが重要となる。本研究では帰国研究者と共著した中国国内の研究者の研究パフォーマンスを測定することで、帰国研究者との共著が研究者の研究の質と量双方の増加に影響を与えることを明らかにした。本研究における帰国研究者の二次的影響の分析は、中国国内の研究の全体像を明らかにする上で有用な知見となる。

  • 丸山 真優子, 宮田 真宏, 山田 徹志, 相原 威, 大森 隆司
    セッションID: 1F1-GS-10-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    現在,教育分野では教育の質が重要視されている.教育の質の向上には,定期的に教員間でカンファレンスを開催して授業に関する情報を共有することや,教員個々で日々の授業を振り返り,その反省点を翌日の授業に生かすことが有用であろう.しかし実際の教育現場での授業は連続していることも多いため,教員が授業中の子ども1人1人に起こった出来事のすべて記録することは非常に困難である.そのため,現在の教員間のカンファレンスや,授業の振り返りは教員の経験などに依存するという問題がある.この問題に対して我々は,個々の子どもに起こった出来事はそれぞれの行動量から推定できると考え,授業中の様子をセンシングシステムにより計測し,計測データに対してAI技術を用いることにより行動量を抽出してきた.これを踏まえて本研究では,抽出された個々の子どもの行動量と,人手により評価された授業への参加状態を比較することにより,行動量を用いた授業への参加度の推定の可能性を検討した.本発表では,授業参加度の推定の現状について報告すると共に,得られた知見を教員のリフレクション場面にて活用する方法について議論する.

  • 小網代 悠, 蔭山 智
    セッションID: 1F1-GS-10-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    現在,各種ハード・ソフトウェアの発展によりスマートフォンや車等,多くのデバイスにカメラが搭載されるようになった.特に車載カメラは,近年急速に発展している自動運転技術等の車両操作にとどまらず,道路上の地物変化検知等,外界の認識にも応用が期待されている.一般的にそのような動画像からの認識を伴う処理にはディープラーニングの手法が用いられるが,そこには大量の教師データが必要であり,現状では人手でその選別が行われる.一方で人手での動画データの教師ラベル付与は,動画実時間の数倍の時間がかかる.そのため付与コストもさることながら,人の識別ミスに起因する誤ラベルの付与も問題となっている.そこで本研究では車載カメラの動画に対する教師データ作成工数を削減することを目的に、アノテーション効率化ワークフローを提案する.車載カメラ動画の特徴を捉えたモデルをベースに,本ワークフローを利用することで,最小の工数で,教師ラベル付与(アノテーション)を実施できることを示す.車載カメラ動画の特性を捉え、ワークフロー内の識別モデルに反映することで、結果的に提案のワークフローにより,約77.5%の工数を削減することができた

  • 全 珠美, 水野 貴之
    セッションID: 1F1-GS-10-05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    本研究では国際貿易を国や企業ではなく,民族間の取引の観点で分析する。国際貿易における民族の影響に関する研究は、民族のデータ収集が容易ではないため、特定の地域や民族に限定した研究がおこなわれてきた。本研究では大規模の企業役員の苗字データと機械学習で構築したSurname-Origin Classifierを用いて、グローバル規模での民族データの分析をおこなう。 本研究ではFactSetデータセットとCEPIIデータセットを使い、国際貿易を民族の観点で分析する。その結果、国による差は存在するが、明らかな同一民族間の取引が観察される。特にアジア系の場合は他に比べ強い民族間の繋がりを見せる。国際貿易における民族の影響はgravity modelを使い測定し、その有効性を検証する。

  • 山本 佳士, 光谷 和剛, 金澤 靖, 徳重 海都, 園田 潤, 木本 智幸
    セッションID: 1F4-GS-10-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    本研究は,著者らが開発した,レーダ画像からGANの一種であるpix2pixを利用してコンクリート内部のひび割れを可視化する手法を,準3次元情報を付与することにより高精度化することを試みたものである.具体的に,既往研究では,薄板状の欠陥を,位置,角度,寸法(長さ,幅)を変化させて埋め込んだコンクリート供試体を対象にレーダ試験を行い,学習データセットとなる,欠陥情報を含むコンクリート断面画像およびそれに対応するレーダ画像のペアを取得した.取得した学習データセットをpix2pixに学習させ,レーダ画像から欠陥断面画像を出力するモデルを構築した.本研究では,材料の分布性状は異なるが,欠陥の分布情報はほぼ同様になる,レーダ走査位置をコンクリート内の粗骨材の最大寸法程度だけ奥行き方向にずらした,2枚のレーダ画像を入力して欠陥断面画像を出力する手法の適用を試みた.提案手法は,内部欠陥の位置,厚さ,角度が変化して,電波の反射強度が小さくなり,従来手法では精度が低下するケースでも,高精度で欠陥を可視化できることが分かった.

  • 山本 健生, 酒井 俊
    セッションID: 1F4-GS-10-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    近年、安全・安心・快適な環境へのニーズが高まっており、テロや事件・事故を未然に防ぐために、道路上の落下物や駅をはじめとした施設内での不審物など、普段存在しない物体を自動的に検出することが求められている。 従来、このような物体検出には背景差分法が用いられていたが、草木の揺れや日照変化などを誤検出する課題があった。 そこで本研究では、フレーム差分画像を用いて、VAE(Variational Auto-Encoder) と近傍探索を組み合わせた異常検知技術を、監視カメラによる落下物・不審物検出問題に適用した。 実験データ1(綾部)の場合、検出精度を表すG-mean値は、フレーム差分を用いたVAEと近傍探索を組み合わせた手法では0.974、既報の平均画像を用いたVAEでは0.875、OpenCVによる背景差分法では0.660であった。 また、データ2(野洲)では近傍探索の特徴を活かし、Human-In-the-Loopによって誤検出データを再分類して推論することで、約3分でG-mean値を0.07向上させることができた。

  • 谷口 俊一, 園田 亜斗夢, 大山 巧, 古川 慧
    セッションID: 1F4-GS-10-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    集合住宅の設計業務では既存の住戸間取り図を参照しつつ、現在のトレンドや顧客の潜在ニーズを反映させた集合住宅の住戸プランを作成する。この間取り図をデータベース化し設計業務を効率化する事を目的に、間取り図にセマンティックセグメンテーションを適用し、部屋属性およびドアや窓などの境界属性を抽出した。また、セマンティックセグメンテーションの精度向上のために、二値化や拡大などの前処理、およびDeepLabv3とHRNetOCRの違いが精度に与える影響等を調査し、改良を加えた。その結果、間取り図の推論においては大局的な特徴と局所的な特徴の両方を考慮することで、実務に適用可能な推定精度が得られることを確認した。

  • 都築 幸乃, 吉田 龍人, 大久保 順一, 藤井 純一郎, Takayoshi YAMASHITA
    セッションID: 1F4-GS-10-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    画像セグメンテーション技術を用いて、河川コンクリート護岸のひび割れを検出する手法が研究されている。しかし、分類対象であるひび割れは背景に比べてその領域が非常に小さい。このような不均衡データで訓練されるモデルは、データ数の少ないクラスよりもデータ数の多いクラスの影響を強く受けた最適化が行われるため、予測精度が不安定であることが知られている。そこで本稿では、ひび割れ検出精度を向上させるために、不均衡データにロバストな損失関数であるFocal Tversky Lossの採用を試みた。Focal Tversky Lossを用いたモデルは、一般的に用いられるBinary Cross EntropyやDice Lossと比較して、ひび割れ検出精度が高いことが示された。また、セグメンテーションモデルにAttention機構を導入することで、画像のどの部分に着目してセグメンテーションが行われたのかという判断根拠を表す可視化画像の生成を行った。

  • 桂田 紗希, 森田 尭, 木村 司, 福井 健一, 沼尾 正行
    セッションID: 1F4-GS-10-05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    美術館やインターネット上に存在する膨大な数の絵画の中から,自分の好みに合う絵画を探し出す事はユーザにとって作業負担が大きい.絵画の推薦システムはこの問題の解決策として有用である.しかしながら,絵画は作品自体の単価や市場規模が異なるため,映画や音楽で用いられるユーザ履歴に基づいた推薦システムの構築は困難である.本研究では絵画自体の画像特徴量のみを用いた推薦システムの構築を目的とした.この目的のため,機械学習手法を利用し画像特徴量を抽出した.特徴量として汎用的な画像分類モデルから得られる特徴量を使用した.その結果,絵画のジャンル分類に特化させてないにも関わらず,特徴量は印象派と現代絵画に分離した分布を示した.また,同じ画家の絵画や同じ対象を描いている絵画が近くに分布する事例も確認できた.さらに,この特徴量とユーザの絵画に対する主観的な好みの関係を被験者実験により検討した.この特徴量を使うことで,ユーザが好む絵画の推薦を行うシステムが開発できると考えられる.

  • 柏原 悠, 松原 崇
    セッションID: 1F5-GS-10-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    生成モデルによる異常検知は,正常画像のみで学習したモデルで,入力画像と再構成画像の差異により異常画像であるかどうかを判断する方法が一般的である.しかし,既存の生成モデルでは再構成画像が不鮮明であったり,元の画像から回転するなどの問題がありパッチベースのモデルや潜在変数空間を使用したモデルに比べて異常検知の性能が劣っている.工業用製品における欠陥品の検出など現実世界の異常検知では,検出対象の物体の向きが同一でないことや,再構成画像が不鮮明なことによる微小な傷の見逃しにより,既存の生成モデルでは異常の検出に失敗することがある. そこで,我々は鮮明な再構成が可能であるDenoising Diffusion Probabilistic Models(DDPM)をベースのモデルとして,異常検知で拡散過程を使用しない方法により,画像データの回転に対して頑健な異常検知を可能にした.本研究では工業用製品のデータセットであるMVTeC ADを使用しモデルの評価を行い,既存の生成モデルによる性能を大幅に上回る0.92のAUROCを達成した.

  • 奥本 皓士郎, 堀内 榛香, 吉田 幸平, 小林 正嗣, 中島 康裕, 瀬戸 克年, 和田 洋平, 谷高 幸司, 杉野 貴明, 鈴木 克典, ...
    セッションID: 1F5-GS-10-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    呼吸状態は生命維持に係り,重要なバイタルサインである.周術期のモニタリングに加え,近年,COVID-19感染症拡大などで重要性を増している.我々は胸郭の動きを変位センサ(GummiStra, ヤマハ株式会社)で呼吸信号として計測し,周波数解析を行ってきた.本研究ではフーリエ変換に代えて複素ウェーブレット変換を施すことで呼吸信号を周波数成分の経時的変化で表し,それをConvolutional LSTMで捉えて呼吸の正常/異常を判定する. 東京医科歯科大学呼吸器外科にて肺切除術を施行した周術期の肺呼吸信号20例を対象とした.計測は術前および術直後から術翌日まで行った.変位センサを側胸部第6–8肋間に貼付し,サンプリング周波数10 Hzで計測した.学習データは384秒ごとでまとめられ,128個でバッチを形成した.スペクトルは,周波数は対数スケールで表現され約1.07倍ごと,時間は4秒ごとで量子化した.正常/異常のラベリングは医師が行った.結果において検出精度は,正常呼吸群および異常呼吸群それぞれで適合率99.8%,再現率99.6%および適合率97.7%,再現率99.1%であった.

  • 大木 伊織, 小野田 崇, 西垣 貴央, 橋本 直哉, 守時 義晶
    セッションID: 1F5-GS-10-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は商船に搭載された航海機器や無線機器の異常予兆検知を対象としている。これらの機器は、衛星を通して陸にある業務管理センターと音声通信等を行うために用いられている。特に音声通信は、主に航海中に緊急事態が発生した時の遭難通報に使用されるため常に使用可能な状態でなくてはならない。しかし、これらの機器は経年劣化や負荷により異常を引き起こし、音声通信等が行えなくなる。本研究では、その異常の予兆をデータの特徴から自動で判別し、機器の交換を促せるようになることを目的とした。本研究での異常予兆とは,専門家が経験上ここは異常予兆と判別して欲しいと指摘した箇所を指す。本研究では、電圧値やCPUの温度などを特徴量として使用し、2種類の手法で実験を行った。ひとつ目は、異常予兆検知の基本であるホテリング理論を応用したMT法である。ふたつ目は、機械学習手法のひとつであるOCSVMを用いた。このふたつの手法を用いて異常予兆検知の特徴の違いを分析した。その結果、MT法では専門家が異常予兆と判別して欲しいと指摘した全ての箇所を見つけることは出来なかったが,OCSVMでは全ての箇所を検知することができた。

  • 川本 樹, 坂倉 省吾, ザナシル アマル, 小松 久美子, 高木 友博
    セッションID: 1F5-GS-10-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    近年,時系列データにおける異常を検出するために,ますます多くの機械学習アルゴリズムが開発されている.アプローチの1つとして敵対的生成ネットワークを用いた研究が存在する.このアプローチのうち,本研究では正常データを学習し,異常データが入力された場合に,高い異常スコアを出す方式を採用している.この方式には,教師なし学習であることや,従来の異常検知手法と比較し高次元のデータの分布を捉えることが可能であるなどの利点がある.一方で,NLPを中心としてAttentionという機構が広く用いられている。このAttention機構を用いることで,RNNと比較すると時系列全体の特徴をより直接的に捉えることが可能である.この機構を時系列タスクに適用することにより精度向上が見込まれる可能性が考えられるものの,敵対的生成ネットワークによる異常検知を行う研究において,Attention機構を用いた研究はほとんど存在しない.このことを踏まえ,本研究ではAttention機構を用いた新しい敵対的生成ネットワークによるアプローチを提案し,本手法が時系列異常検知において従来手法と比較し性能が向上したことを示す.

  • 寺本 泰大, 山田 真徳, 山中 友貴, 中嶋 良彰
    セッションID: 1F5-GS-10-05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    産業用制御システム(ICS)へのサイバー攻撃は増加傾向にあり、特に制御用通信に含まれる制御コマンドやセンサーデータの改ざんによる物理的被害が社会的な脅威となっている。制御命令に含まれるデータの正常範囲は環境によって異なるため、AutoEncoder等の自己符号化器を用いたアノマリ型異常検知が注目されている。一方、アノマリ型異常検知においては学習データに不要なデータが混入しないよう細心の注意を払う必要があるものの、ICS環境の通信データには膨大な量の制御通信が含まれていることや、監視対象が通信ペイロードに含まれる制御コマンドのパラメータにも及ぶことにより、システム運用者が学習データに含まれる通信を1つずつ確認しながら正常性を判断して異常データを排除することは現実的ではない。本論文では、制御通信パケットをBERTにより特徴ベクトル化し、半教師あり学習により、学習データに含まれる正常外の通信データを効率良く排除する方法を提案し、実験により有効性を確認した。

  • 山下 和也, 井上 恵, 本村 陽一
    セッションID: 1G1-GS-10-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    大規模集客サービスにおいて、オンラインとリアルを区別することなくシームレスにつないだ価値共創を目的として、価値構造モデルの構築とそれを活用したAI応用システムについて報告する。リアル/オンラインイベントで生じる来場者の意識の変化や回遊・計測データを収集し、さらにイベントスタッフのアクションも含めた確率モデル化を行う。これによりサービスシステムとして共通認識される価値構造をモデル化し、それを利用することで、来場者に合わせたリアルな会場での体験価値とオンラインで提供されるサービスの価値を共通のものにすることができる。また来場後には各来場者に合わせた追加体験や事後案内をオンラインで提供可能にもなる。これによりイベントに関わる、来場者、現場スタッフ、イベント企画者が共に価値を創ることを促進する。

  • 新保 利弘, 岡田 陽介, 松原 仁
    セッションID: 1G1-GS-10-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中で、AIの積極的な活用が検討されているが、これまでのカイゼン活動により驚異的な精度となったエンタープライズのプロセスにAIを導入することは、期待される精度とのギャップが大きな障壁になっている。 本研究では、そのような課題の解決を目的として、Human in the Loop Machine Learning(人間参加型機械学習)を応用し、プロジェクトの構想段階に運用での「人とAIの協調」を盛り込んだシステムアーキテクチャを定義し、設計、実装を行い、運用フェーズでシステムのスパイラルアップを行っていくアプローチを提案する。

  • 鈴木 陽介, 水野 一徳, 戸谷 太亮
    セッションID: 1G1-GS-10-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    勤務表は各従業員の勤務管理をするために必要不可欠である.しかし,勤務表の作成する際には,従業員の出勤可能日や店の混雑状況など,様々な制約を考慮し作成しなければならない.本研究で扱う個別指導塾も例外ではなく,講師の出勤可能日や指導可能な教科の考慮は勿論,生徒の出席可能日や受講している教科なども考慮しなければならないため,作成者に多大な負荷を課すこととなる.したがって,勤務表の自動作成システムの研究と開発が求められている. さらに,本研究の問題点は,従業員である講師の勤務表を顧客である生徒の時間割をもとに作成しなければならないところにあり,これはシフトスケジューリングと時間割編成の特徴を併せ持つ問題だと考えられるため,勤務表の作成を問題に合わせて二段階に分ける必要がある.そこで本研究では,遺伝的アルゴリズムで勤務表の日程調整を行い,焼きなまし法で受講教科を割り当てることで勤務表を自動的に作成するシステムを提案する.

  • 夏侯 賢城, 原田 良雄
    セッションID: 1G1-GS-10-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    従来の研究はRFMモデルとk-meansクラスター分析に基づいて顧客セグメンテーションを行うこと多いですが,顧客の購買行動,購買意識と意思決定などの情報を把握することが難しい.本研究では,ネットビジネスデータの特徴に基づき,RFM法の上に,直近購買日(R),累積購買回数(F),クリック数(P),カートに入れ数(A),商品種類(C),お気に入り数(V)という六つの変数に増加し,新しいセグメンテーションのRF-PACVモデルを提案した.また,Calinski-Harabasz(CH)基準を導入することによりK-meansを行った。その結果,K-meansとRF-PACVモデルにより5組の顧客データが得られRF-PACV分析法は各顧客グループの特徴を分析し,顧客の異なる消費習慣と好みを区別することができる.

  • 林 晃平, 中川 慧
    セッションID: 1G1-GS-10-05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,ニューラルネットワークを使用した時系列データの生成手法を提案する.時系列データ,特に株価のような現実の金融市場におけるデータは不規則にサンプリングされることが多く,更にそのノイズ構造は標準Brown運動よりも複雑で,長期記憶性をもつ場合もある.このような特性を持つ時系列データを生成するために,Brown運動をベースとしたNeural Stochastic Differential Equation(SDE)モデルを拡張・一般化し,長期記憶特性を示すHurst指数が半分より大きい非整数階Brown運動に基づくNeural Fractional SDE-Net(fSDE-Net)を提案する.また,理論的にはfSDE-Netの数値解析手法を確立し,fSDE-Netの解の存在と一意性を示す. 更に,人工データと実データを用いた実証分析を行い,fSDE-Netモデルが時系列データの長期記憶性をうまく複製できることを示す.

  • 長尾 大道, 伊藤 伸一, 金子 亮介
    セッションID: 1G4-OS-22a-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    数値シミュレーションとデータ解析が研究推進の両輪をなす地震学において,データサイエンス技術が必要不可欠であることは論をまたない.2021年度からは,文部科学省の「情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト」(STAR-Eプロジェクト)が開始となり,情報科学と地震学の融合研究が一気に加速されつつある.筆頭著者は,STAR-Eプロジェクトの研究課題の一つである「人工知能と自然知能の対話・協働による地震研究の新展開」(SYNTHA-Seis)の研究代表者として,地震学および情報科学の専門家による人的ネットワークを構築することにより,人工知能技術をはじめとする最新の情報科学技術の地震研究への導入を積極的に進めている. 本講演では,地震研究へのデータサイエンス技術の導入例として,(1)数値シミュレーションと観測データを融合するデータ同化アルゴリズムの開発と地震波伝播シミュレーションへの応用研究,および(2)地震観測データからの情報抽出のための深層学習器の開発と実データへの応用研究について紹介する.また,今後の地震研究におけるデータ同化と人工知能の融合の重要性,ならびにその将来展望について論じる.

  • 山根 直樹, 西田 遼, 大西 正輝
    セッションID: 1G4-OS-22a-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,避難行動をマルチエージェントシミュレーション(Multi-agent Simulation; MAS)で計算した結果をグラフニューラルネットワーク(Graph Neural Network; GNN)で推定する.MAS による網羅的な計算は,災害発生時の誘導戦略の決定や建物の設計に役立てられる.しかし,計算時間はエージェント数やエージェントモデルの複雑度に影響される.そこで, 機械学習で MASの計算を代替することを考える.具体的には,建物構造をグラフで表現した GNN に, MAS のある時点までのエージェント位置を入力し,それに続くエージェント位置を推定する.MAS で生成した避難行動データを GNNで推定した結果,避難行動特有の性質を GNNが表現していることが明らかになった.

  • 中井 優, 奥田 洋司
    セッションID: 1G4-OS-22a-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    GNNはグラフの表現学習を行うためのニューラルネットワークであり,多くはグラフ畳み込み層を積み重ねることにより構成される.この層数はグラフ内で情報を伝播できるホップ数に等しいため,大規模なグラフを扱うには十分な層数が必要である.しかし,GNNには層数を増やすと過平滑化という現象により予測精度が下がってしまう課題があった.本論文では,グラフ畳み込み層ではなくFNNの積み重ねをベースとしてGCNによるゲーティング構造を持つ全く新しいGNNを提案することで,過平滑化の問題を本質的に解決すること,それによりGNNが大きいグラフを扱う困難性を打開することを図った.本論文の実験結果は,従来の手法が4から8層で過平滑化を生じるのに対し,提案手法が過平滑化を生じることなく20層まで単調に予測精度を向上することを示した.ノード分類のベンチマークであるPPIデータセットとFEM計算を代替するタスクという,大規模なグラフを対象とする2つの実験においても,提案手法は比較した既存手法の中で最も高い精度を達成し,特にPPIデータセットでは99.71%の分類精度でState-of-the-Artを記録した.

  • 窪澤 駿平, 大西 貴士, 鶴岡 慶雅
    セッションID: 1G4-OS-22a-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    生産設備や輸送システムをはじめとする,様々なシステムの資源配分や運用計画などの計画作業を自動化・最適化する方法は,主にオペレーションズ・リサーチや個々の分野で研究されてきた。これらの計画問題,特にスケジューリング問題は,組合せ最適化問題に還元され,そのソルバで解かれることが多い。しかし,この方法で複雑なシステムの長期計画をスケジューリングしようとすると,組合せ爆発により解が得られない場合がある。一方,スケジューリング問題は,組み合わせ最適化問題としてだけでなく,最適制御問題とみなせる場合も多い。最適制御問題は,モータ制御やプラント制御など制御工学の問題だけでなく,例えばボードゲームの様に,逐次的な意思決定を扱う問題を広く含む。この最適制御問題を解く方法のひとつに強化学習があり,近年目覚ましく進歩している。そこで,複雑なスケジューリング問題を,各時刻において意思決定する最適制御問題と捉え直すことで,強化学習により計画時には短時間で解を得られる可能性が生じている。本稿では,この様な定式化の観点と,応用事例として鉄道ダイヤ作成や化学プラント運転などの取り組みを紹介する。

  • 吉田 亮, 林 慶浩, ARIFIN -
    セッションID: 1G5-OS-22b-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    材料研究の設計空間は広大である.マテリアルズインフォマティクス(MI)という学際領域に課されたミッションの一つは,このような広大な探索空間から革新的な特性を持つ新材料を発掘することである.MIの基本的なワークフローは順問題と逆問題から構成される.例えば順問題では, 材料を入力,特性を出力とする統計モデルを構築する.これに対し逆問題では,モデルの逆写像を計算して所望の特性を有する材料を予測する.本講演は,材料研究における機械学習とシミュレーションの融合に着目する.材料研究のデータ量は機械学習の他の応用分野に比べると圧倒的に少ない.また,材料研究の究極の目的は,データがない未踏領域に存在する革新的な材料の発見することである.したがって,基本的に機械学習の内挿的な予測だけでは革新的な材料に到達できない.そこで,材料研究では,機械学習とシミュレーションの融合が重要な役割を担う.本講演は,先端的な応用事例を解説しながら,データ駆動型材料研究における機械学習とシミュレーションの融合の諸問題を論じる.

  • 木佐森 慶一
    セッションID: 1G5-OS-22b-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    近年の不確実で不安定な時代において、製造・物流業では工場、物流、サプライチェーンについて待ち行列シミュレーションを用いたデジタルツインを構築し、事前に試行錯誤を行うことにより最適でロバストなオペレーションを行うことの重要性が増している。しかし、正確な実際の状況としてのデータを再現するように離散的な待ち行列シミュレーションのパラメタを最適化することはこれまで困難であった。そこで、我々はカーネルABCを拡張したデータ同化の手法を用いてこの問題を解決した。これは演繹的なシミュレーションのパラメータを帰納的な機械学習の手法で決定することに相当する。この手法の数理的な背景と、実際の製造・物流事業者で適用した事例を紹介する。

  • 毛利 研, 春日 剛, 成宮 仁, 大場 久永, 関本 和穂
    セッションID: 1H1-GS-11-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    脱炭素に向けての動きが世界全体に大きく拡がっている。脱炭素社会の実現への取り組みは,ビジネス継続の最低条件になりつつある.昨今,世界的に注目が高まっている企業の環境などへの取り組みを評価した投資であるESG投資について,気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや企業の脱炭素社会の実現に向けた新たな収益創出の機会を評価するベンチマークに関する評価手法の研究が活発化している.このESG投資の活発化により,脱炭素に関する情報開示が市場からの信頼につながり,企業価値と直接結びつき始めている.また,企業は融資や保険など金融サービスの審査にもその情報が活用され始めており関心が高い.そのため本研究において、各国の脱炭素トピック毎における相対的な進捗度合いを可視化した.具体的には,過去3年間約4,000万件から脱炭素関連に係る記事を抽出,記事に対するBERT埋め込みベクトルのクラスタリングを行い,それぞれのクラスタに対する特徴的な単語をc-TF-IDFを用いて抽出した.本研究により,欧米や中国と日本において脱炭素への取り組みが対照的であることがわかった.

  • 佐々木 明, 大倉 俊平, 小野 真吾
    セッションID: 1H1-GS-11-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    アプリ内で提示される記事を提示ロジックのパーソナライズの強さによって段階分けし、パーソナライズへの嗜好性と閲覧記事の多様性の関係を調査した。 その結果、閲覧記事の多様性が高いユーザほど長期的なエンゲージメントが高くなる一方で、よりパーソナライズが強く効いたロジックを好むユーザほど閲覧記事の多様性が低くなってしまうことがわかった。

  • 水野 貴之, 土井 翔平, 栗崎 周平
    セッションID: 1H1-GS-11-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
    会議録・要旨集 フリー

    グローバル・サプライチェーンやグローバルな株所有ネットワークは複雑な構造をしている。原材料は、様々な国や業界の多くの企業を通じて、最終製品にたどり着く。そのため、多数ある原材料から最終製品までの経路において、人権侵害や環境破壊に加担している企業や地政学的なリスクを抱える企業を人手で見つけることは容易ではない。本研究では、Tesla社のバッテリー調達経路を事例研究として推定し、推定した調達経路に潜在する経済安全保障リスクを、(1)従来型の地政学リスク、(2)ネットワーク型の地政学リスク、(3)隠れ支配型の地政学リスクの3つに分類して特定する。各リスクは、公開されている企業間取引や株主情報に関するネットワーク分析(媒介中心性、Network power index、Network power flow)から機械的に特定することが可能である。

  • Sofia SAHAB, Jawad HAQBEEN, Takayuki ITO
    セッションID: 1H1-GS-11-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    In “The Image of the City” by Kevin Lynch describes how individuals perceive and recall features in urban spaces and represent a city by sharing their opinions. However, due to constraints such as time and space, the traditional forms of public participation to describe and shape citizens' mental representation of the city are untenable. Therefore, Lynch’s approach has stimulated research into digital participatory technologies, mainly artificial intelligence to study the perception and analysis of urban dynamics. In this paper, we propose to study this phenomenon using a digital participatory platform with a combination of “AI-mediated” and “non-mediated” support involving a large number of citizens using open call in five major cities of Afghanistan. The aims were to (1) examine whether AI can elicit city image through extracting and visualizing the insights of citizens in real-time, and (2) evaluate how AI-mediated discussion can elicit innovative elements of city image in comparison to non-mediated discussion. The results show that AI-mediated discussion improved the responsiveness of the participants and increased the number of identified ideas compared to non-mediated discussion.

  • 吉添 衛, 服部 宏充
    セッションID: 1H1-GS-11-05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    現在,社会はインターネットの発達やグローバル化が進んでおり,それに伴って人のもつ価値観も多様化してきている.筆者らは,問題の解決に取り組む人々が,互いの視点や意見を取り入れ,それらを刺激としながら議論を活性化するプロセスのシステム化を構想し,AIR-VASと呼ぶシステムを構築している.本システムでは,複数のグループに分かれて行うグループディスカッションのような場を支援対象の一つとして想定し,本来議論中には知ることのできない他グループの情報をシステムを介して提示することで,多様な観点を取り入れた議論を促す機能について実装を行なってきた.一方で,これまでのシステムでは,単語の出現頻度と共起情報をもとにした他グループの情報抽出を行なっており,提示情報の質的な面で課題があった.そこで本稿では,言語モデルによる分散表現に基づいて各グループの議論を評価し,対象グループとは議論の傾向が異なる他グループから情報を抽出する手法を提案する.実際の議論を対象に分析を行い,単語の出現頻度や共起情報にはない発話文のもつ意味的な情報を考慮することで,質的に異なる他グループの情報を提示できることを確認した.

  • 稲葉 通将
    セッションID: 1H4-OS-17a-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/11
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    コンテンツの創作にはクリエイターやエンジニアによる多大な労力が必要であり,これまでコンピュータによるコンテンツ創作を補助する試みは広く行われてきた.しかし,自然言語処理を用いたコンテンツ創作支援に関する既存の研究はストーリーおよびプロットの生成が主流であり,登場人物のセリフややりとりの生成を行った研究は少ない.本研究では,自然言語処理に基づく漫画の創作支援のためのデータセットを構築するため,市販の単行本に収録された約8000個の4コマ漫画に対し,各コマで書かれたセリフ,オノマトペ,キャラクターの状況,場所などの情報のアノテーションと,4コマ全体の要約を付与した.本発表では,アノテーションの詳細,およびアノテーションの結果について述べる.また,構築したデータセットを用い,要約からキャラクターのセリフを生成した実験の結果についても報告する.

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