人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第36回 (2022)
セッションID: 1N5-OS-10b-03
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記憶活性化・運動学習・時間認知を統合することによる最適覚醒水準理論のモデル化
*長島 一真米田 凌西川 純平森田 純哉寺田 哲也
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抄録

マインドワンダリングは,課題への飽きに伴って生起する.つまり,課題への習熟に従い,課題遂行に要する認知資源が低下する.余剰な資源は自然と「課題外でよく行う思考」に向けられる.このようなマインドワンダリングが消費する認知資源は,当初,余剰なものに限られる.しかし,マインドワンダリングの継続により,課題外の思考のループが強化され,課題の遂行に影響し始める.本研究ではこの一連のプロセスを認知アーキテクチャACT-Rの機能を組み合わせることで表現する.宣言的な記憶の活性化により,課題および課題外の思考のループを表現する.また,課題への習熟を課題成績のフィードバックを利用した運動学習によって表現する.さらに記憶の活性に確率的なゆらぎを導入し,ループ間の遷移確率を変化させる.このゆらぎは,副交感神経の活動と対応し,時間による増加と新規な刺激を受けた減少が仮定される.これまでのシミュレーションによって,このようなACT-Rの基礎的要素の組み合わせが,覚醒度の最適水準理論(課題進行による逆U字型の成績曲線)を表現することが示されている.

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© 2022 人工知能学会
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