主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2022年度人工知能学会全国大会(第36回)
回次: 36
開催地: 京都国際会館+オンライン
開催日: 2022/06/14 - 2022/06/17
協調的な狩りは自然界に広くみられる協力の形であるが、その捕食の組織化のレベルには種によって違いがあることが知られている。 しかし、このような多様性を包括的に捉える試みは少なく、協力的な捕食の形態がどのように進化し、維持されてきたかは十分に理解されていない。 本研究では、深層強化学習に基づくマルチエージェント・シミュレーションを用いてこの問題に取り組んだ。 ここでは、これまでの自然観察から捕食形態との関連が示唆されている要因を変化させた際の行動方略の変化を調べ、捕食者よりも獲物のほうが移動能力が高く単独での捕捉が困難であり、かつ獲物を捕まえた際に食料(報酬)を共有する、という二つの要因が組み合わさった条件において個体間で役割分担のみられる最高レベルの組織化が現れることがわかった。この結果は、これまで高度な認知能力が必要かもしれないと考えられてきた洗練された捕食形態が比較的単純な認知および学習の仕組みから進化しうることを示唆するとともに、捕食の形態とその生物の置かれた環境との密接な結びつきを強調している。