近年,ウェアラブルデバイスやそれに搭載されるセンサの普及により,ヘルスケア分野の研究において時系列心拍データの解析が進められている.時系列心拍データからは不整脈の検知や心理的ストレスの推定が可能なため,心拍データを用いた医療・健康管理サービスは多く存在する.一方,時系列心拍データには多くのプライバシー情報が含まれており,サービスを利用するユーザのプライバシー保護には十分な配慮が要求される.そこで,本研究では時系列心拍データから不整脈検知を行うサービスを対象に,「差分プライバシー」を用いたプライバシー保護メカニズムの提案と評価を行った.評価結果では,提案手法が従来の差分プライバシーを用いたメカニズムと比較してユーザのプライバシー保護を実現しつつ,サービス有用性を両立するための手法として有効的であることを示す.