インターネットの発展により,旅行者はオンライン上で多くのレビューを閲覧出来るようになった. 中でも,大手宿泊予約サイトにおける宿泊施設のユーザ評価は,旅行者が宿泊施設を予約する際に有用な情報である. また,サイト上の評価値は宿泊施設にとってもサービス提供の質がユーザ評価として可視化される重要な指標となっている. これらのユーザ評価の中で,レビュー文はユーザの感想がダイレクトに反映されており,各ユーザが宿泊施設に対して満足を得る要素を捉えることができる. 宿泊予約サイト上のユーザレビューデータから,宿泊施設の評価値に影響を与える要因を導き出す分析手法が得られれば有用である. そこで本研究では,BERTに入力したレビュー文データから得られたベクトルをクラスタリングし,各宿泊施設における各クラスタのレビュー数の割合がその評価値へ及ぼす影響の大きさについてSHAP値を用いて分析することで,宿泊施設が顧客満足度向上のために取り組むべき課題の発見を可能にする一連の分析手法を提案する. さらに,上記提案手法を実データに適用して分析を行い,いくつかの宿泊施設を例に取って課題や改善すべき点について考察する.