過度な推薦精度の追求から生じるフィルターバブル問題を解決するために,セレンディピティ指向推薦システムが提案されている.セレンディピティの構成要素に意外性を用いる多くの先行研究では,ユーザのアイテムに対する意外性度合いを算出するためにユーザの閲覧履歴・評価履歴を用いるが,全ての履歴を等価として扱うか直近の履歴のみを使用している.しかし,これらの手法ではユーザの嗜好や流行の時間的変化を考慮できない.本研究では,時系列予測モデルを用い推薦時の意外性を予測するセレンディピティ指向推薦システムを提案する.ベンチマークデータセットMovieLens 100Kを用いて推薦結果を評価している.実験結果より,提案システムはベースラインシステムと比較してRecall,NDCG,セレンディピティでそれぞれ最大0.84,0.39,0.08ポイントの性能向上を確認している.