近年の労働力人口の減少や急激な技術革新という背景下、企業存続にとってイノベーションは不可欠になっている。行動経済成長期における日本製造業の成功を支えた社員の同質性はイノベーションを起こすには不十分であり、多様な人材を採用し、その活躍を促進する「ダイバーシティ・インクルージョン」という考え方を経営戦略に取り入れ、実行することが重要視されている。多様な社員の価値観の差異が対立やトレードオフの原因となる一方、これを認めつつ解決策を模索することは、社員と組織の成長に寄与し、社員個々の価値観が満たされることは、社員のウェルビーイングやエンゲージメントに強い影響を与える。持続的な価値創出を目指す企業組織において、社員が企業理念だけでなく、自己・他者・組織の価値観を共有し、差異を理解することは必要不可欠な一要素であると考える。本論文では、抽象的な価値観を共有可能な形に構造化・可視化することで、自己認識を促進し、価値観の違いを認識・理解することを支援する機能を備えた価値観共有プラットフォームの設計と開発に焦点を当て、その効果について報告する。