鉄道輸送計画の自動化技術研究には長い歴史がある。これらは，何らかの所与の観点における最適な計画をコンピュータで立案する技術であり，シミュレーション技術を利用したものがある。一方，これらの技術の最終目標は，コンピュータまたはシミュレーション上で最適な計画を立案することではなく，立案した計画を現実の鉄道輸送に反映し，現実においてよりよい鉄道輸送を実現することである。このためには，現実の路線状況を詳細に認識する技術，ユーザインタフェース技術，運行管理システムと接続するためのシステムインテグレーション技術なども関連する。ところが，これらの研究は続いているが，計画問題が複雑かつ大規模のため，実用化は長らく困難であった。そこで本稿では，鉄道輸送計画技術に関するシミュレーションとAIを用いた技術および周辺技術に注目し，これまでのあゆみと，実用化のための今後の展望について考察する。
