近年,教育場面において難易度調整可能な読解問題自動生成が注目されている.我々は,項目反応理論を用いて学習者の能力にあった難易度の読解問題を生成する技術を開発してきた.しかし,この手法は答えが読解対象文中に存在する抽出型の問題形式を対象としており,教育現場で広く使われている多肢選択式の問題形式には対応できない.そこで,本研究では難易度調整可能な多肢選択式問題自動生成手法を開発する.提案手法は,自己回帰型言語モデルによって読解文と任意の難易度から多肢選択式問題の問題文と選択肢群を生成する. また,提案手法によって生成した問題をQuestion Answeringシステムに解答させ,その反応データに項目反応理論を適用することで,難易度調整の性能評価と選択肢の妥当性評価を行う. 難易度調整の性能評価の結果,指定した難易度が高くなるほど正答率が下がることが確認できた.また,選択肢の妥当性評価の結果,多くの場合で妥当な選択肢が生成されていることを確認できたとともに,一部の不適切な誤答選択肢を項目反応理論に基づいて検出できることが確認できた.