人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第38回 (2024)
セッションID: 2G1-GS-11-01
会議情報

生成AIを用いた刑事裁判例における構成要件該当事実の抽出システム
*今井 伊織西村 剛輝中田 己悠須子 統太野村 亮仲道 祐樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

刑法研究では、事前作業として大量の刑事裁判例の分析が必要となり、多くの人的コストと時間が要される。そこで本研究では生成AIを利用して、判例分析を自動化するシステムを作成し、その性能の評価を行った。具体的には、犯罪が成立するための要件(構成要件要素)に該当する事実を判例から抽出するタスクをGPT-4のAPIを用いて行なった。その際、入力するプロンプトとして刑法条文、抽出条件、抽出の例などの情報を加え、現住建造物等放火罪、詐欺罪、過失致死罪、横領罪の4つの犯罪類型における裁判例を分析の対象とした。結果としては、ほとんどの構成要件要素について、9割以上の抽出が少なくとも正解部分に重なる部分を抽出した。また、抽出の質についても法律の専門家から見て大きな問題のない抽出がほとんどであった。また、正解部分とは完全に異なる部分を抽出した場合でも、完全に誤りとは言えない例も複数見られた。一方で、該当事実部分を要約してしまう場合や、抽出が不十分になるなどの今後の改善点もわずかに見られた。

著者関連情報
© 2024 人工知能学会
前の記事 次の記事
feedback
Top