対話において個々の発言は単独で解釈することができず,つねに対話履歴という文脈に基づいて解釈される.したがって,文面上はまったく同じ発言であっても対話履歴が異なれば解釈が異なる.本論文は対話履歴に基づいた発言の解釈を自然言語で表現する手法を提案する.提案手法の新規性は対話の文脈において発言をより具体的に言い換えた文を大規模言語モデルで生成する点にある.さらに,対話履歴から一部の発言を取り除いた不完全対話に提案手法を適用することで,特定の発言の解釈に重大な影響を与える発言を抽出する.人手による評価の結果,抽出された発言は他の発言と比べて対話の解釈に与える影響が有意に大きいことが示された.