人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第39回 (2025)
セッションID: 1Win4-88
会議情報

野球におけるフロントドア・バックドア投球の判定およびその投球が有効となる特性
*三浦 拓実藤井 慶輔
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

野球の投球戦略の一つであるフロントドア・バックドア(以降ドア系投球)とは,横方向の変化によりストライクゾーンの外から中へ変化する変化球のことを指す.ドア系投球は見逃しや振り遅れによる凡打を期待できる一方,長打や明らかなボールとなるリスクを伴う.しかし,ドア系投球を判定する基準は明確でなく,その有効性はこれまで検証されてこなかった.本研究では,日本プロ野球を対象にドア系投球の採用可否の判断基準を明らかにすることを目的とする.まず,MLBのデータを用いて投球の特徴から変化球の変化量を推定する機械学習モデルを構築し,日本プロ野球におけるドア系投球を判定した.その後,ドア系投球の有効性を検定し,有意に有効または有効でないと判定された投手・球種についてその特性を調査し,検定結果との関係を考察した.その結果,ある投手の凡打が多い球種はドア系投球が有効であり,球速が遅い球種はフロントドアが効果的でなく,シュート系の球種はドア系投球が有効でない可能性が高いことが示唆された.これにより,投球戦略の選択を行う選手やコーチに対する支援や評価への活用が期待される.

著者関連情報
© 2025 人工知能学会
前の記事 次の記事
feedback
Top