人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第39回 (2025)
セッションID: 2Win5-78
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生成AIを活用した社会シナリオ構築の試み
脱炭素社会の実現に向けた人工知能の応用
*中野 祐樹本藤 祐樹
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抄録

脱炭素社会に向けた政策の立案や課題の抽出において、「社会シナリオ」の活用が進められている。社会シナリオとは望ましい将来像やそこに至る道筋などを描いたもので、その作成においては様々な情報やデータに基づいて具体的かつ多角的に記述することが課題となる。本研究では、社会シナリオの構築における生成AIの活用可能性を明らかにすることを目的とする。脱炭素に関する定量的・定性的な情報(二酸化炭素の排出量、太陽光発電の導入割合など)に基づいて2030年の横浜市の姿を大学生に描かせ、独力で描いた場合とChatGPTを活用しながら描いた場合とを比較する実験を行った。その結果、ChatGPTが新しいアイデアを提供したり想像の幅を拡張したりすることで、より多様な着眼点から社会の姿が描かれることが明らかになった。また、抽象的な概念が具体化されることで、より詳細かつ鮮明な将来像が描写される傾向が認められた。加えて、情報の整理や複雑な計算が短時間で行われることで、少ない労力で作業が進められることも分かった。以上の結果は、生成AIが社会シナリオの構築における創造性の向上や効率化に寄与することを示唆している。

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