グローバル株所有ネットワークにおける実質的支配者の変遷

抄録

グローバル株所有ネットワークを対象に、個人や企業レベルで各国産業の実質的支配者（Beneficial Owner）の変遷を分析する。企業の支配構造を評価するために、以下の3つの手法を用いる：①持ち株比率に比例する方法、②持ち株比率に閾値を用いる方法、③キャスティングボートを握る確率である投票力指数に基づく方法。それぞれの手法を通じて、所有構造の階層的特性や間接的な支配関係を可視化・定量化し、手法間の違いを比較する。また、ウクライナ戦争前後における実質的支配者の変遷を観測することで、投資や経営におけるロシアの切り離し状況を具体的に明らかにする。本研究は、所有ネットワークの動態を通じて、経済安全保障や国際経済のダイナミクスの理解を目指している。