一般密行列に対する連立一次方程式の数値解の精度保証には,バナッハの摂動定理に基づいた方法がある。その方法を大別すると,(1)LU分解とその事前誤差評価を利用した方式,(2)LU分解の逆行列を利用する方式,そして,(3)逆行列を利用する方式,があり,順に計算量が少ない。特に,(1)の方式は数値解を得る手間と同じ計算量で数値解の精度保証が可能である。しかしながら,扱う行列のサイズが大きくなると,(1)の方式では事前誤差評価で得られる誤差がかなり過大評価となり,場合によっては精度保証が失敗することがある。本報告では,PCクラスタ上で最大1万次元程度の大規模な密行列系に対して上記の精度保証法を適用し,それぞれの方式の適用可能範囲と性能を示す。