抄録
2階楕円型境界値問題の解の数値的検証では、これまで、問題を有限次元へのprojectionとその誤差部分の二つに分け、前者には区間Newton型反復の直接計算を行い、後者には誤差のa priori評価による逐次型反復を用いてきた。対象方程式が1階微分の項を含まない場合には、実用上十分効率的であることが既に多数の検証例から実証されている。これは、前者はNewton法の局所縮小性が働き、後者には近似空間の近似度を上げれば必ず縮小化が起こるという検証原理が基盤になっている。一方、1階微分項をともなう場合には、後者で評価した誤差が適切に有限次元反復に反映されず、その結果、近似空間の近似度を上げても検証達成が困難な場合が起こりうることが判明した。ここでは、そのような難を克服する一つの方法を提案し、それが実際に有効であることを検証例を挙げて示す。