抄録
株価や為替レートの変動(収益率)は、観測間隔が短いとき特性指数 2 以下の安定分布を
しており、更に、観測間隔を長くするのに従ってガウス分布(特性指数が 2)に近づくこと
が知られている。この現象を説明するために Ehrenfest Model を一般化したモデルを提
唱する。
このモデルは、単純なモデルで、数値計算のみならず解析的な手法もある程度用いること
が出来るものとなっている。また、観測間隔による分布の違いのみならず、実際の株価デ
ータに見られるテールの減衰も説明している。更に、実際のディーラの行動との対応をつ
けられるので、ディーラーのどのような行動から価格の変動(収益率)がどのように変化す
るのかが理解できる。
このモデルは、数理的な面からもおもしろいモデルになっていると思う。