抄録
過去への長期依存性と統計的な自己相似性をもつフラクショナルブラウン運動過程の影響を受ける線形確率微分方程式は、金融マーケットにおける利率モデルや通信トラヒックにおけるON/OFFソースの重ね合わせモデルなどで重要な役割を果たしている。とくに、小媒介変数が微分の最高階に乗じられた形で表されることによって特異摂動型になっている線形確率微分方程式の解は、急激な緩和や引き込みの性質を有すると予想されている。しかし、一見、無限に大きなフラクタルシグナルに爆発していきそうな解になっている。そこで、解の急速成分と遅速成分両方の確率過程をうまく尺度変換すれば、小媒介変数が限りなくゼロに近づくときの極限過程得ることができる。