抄録
1952年、A.Turingによって形態形成、細胞分化過程など生物系に現れる重要なイベントに拡散導入不安定性が本質的な役割を果たしていることが主張され、そこに反応拡散系がモデルとして登場したのである。残念ながら、彼の理論はあくまでも数理の視点からの主張であったため、生物界においては認められなかったが、その後1990年代に入り、彼の理論は実際の化学反応系において確認され、「拡散導入不安定性理論」」は非線形非平衡系理論において花開き、自己組織化、散逸構造などの言葉で語らえれることになったのである。本講演ではバクテリアコロニー形成、微小重力場の燃焼、自己触媒反応等非線型非平衡現象を紹介し、それらを記述する数理モデルを数理解析とそれを相補する計算機解析をハイブリッドに用いる計算機支援解析法から考察し、系が示す多用な時空パターン形成・変貌を理解する。