抄録
LNGやCNGに代わる天然ガスの貯蔵手段として,水を含む結晶状態であるクラスレートハイドレートが注目されている.クラスレートハイドレートは水分子が籠状の構造を持ち,その中にゲスト分子と呼ばれる分子(たとえばメタン)などが包摂されてできている結晶である.本研究では貯蔵の基礎的研究として,メタンハイドレートの分解・生成過程を分子レベルの知見を得るために,分子動力学シミュレーションを行った.分解過程の結果から,メタンを包み込んでいる籠が崩壊した後に,慶賀平衡状態に向かうまでに要する時間が長いことを見いだした.また,分解・生成過程の結果より,メタン分子同士が互いに近距離にないことが,生成を促進する可能性があると考えた.