座間味島で採集された尋常海綿Agelas属の2新種A. nakamuraiとA. nemoechinataを記載した.前種は同属内の他種に比して非常に長い骨片を持ち,後者は骨格繊維からほとんど骨片が射出していないことを特徴とする.Agelas属の海綿はこれまでに熱帯あるいは亜熱帯海域から16種が記録されている.Agelas属は1属で1科を構成し,従来は多骨海綿目(珪角海綿亜綱)に所属するものとされてきたが,骨片・骨格以外のいろいろな知見が得られるにつれて中軸海綿目(四放海綿亜綱)に所属させるべきであると考えられるようになった.