ロシア科学アカデミーノボシビルスク動物学博物館所蔵のヒラタハバチ科標本を検した結果,1)西サヤンから記載されたPamphilius sajanicus STROGANOVA,1978,が旧北区に広く分布するサクラヒラタハバチNeurotoma iridescens(ANDRE,1882)の新参シノニムであること,および2)STROGANOVA(1978)のいう"Pamphilius lucidus ROHWER,1910"は,実は旧北区に広く分布し松の害虫として知られるアカズヒラタハバチAcantholyda erythrocephala(LINNAEUS,1758)であることがわかった.サクラヒラタハバチについてはロシア沿海州に産することを初めて報告し,ツヤヒラタハバチOnycholyda lucida(ROHWER,1910)については日本以外からの信頼すべき分布記録はないことを指摘した.そのほか,東アジア産の5種のPamphilius属ヒラタハバチ,P.itoi SHINOHARA,1985,クロズハラアカヒラタハバチP.hortorum KLUG,1808),ハマナスヒラタハバチP.stramineipes(HARTIG,1837),P.brevicornis brevicornis HELLEN,1948そしてP.coreanus TAKEUCHI,1938について採集記録を与えた.このうち,ハマナスヒラタハバチは国後島から,P.brevicornis brevicornisはサハリンから,それぞれ初めての記録となる.
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