動物分類学会誌
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東アジア産アオガエル類(両生類:アオガエル科)の血液中から発見されたトリパノゾーマ5新種(原生動物:トリパノゾーマ科)
宮田 彬楊 海星長谷川 英男シャフルヂン
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1994 年 52 巻 p. 1-13

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抄録

著者らは1988年8月から1992年8月にかけて,マレーシア,インドネシア,中国および日本でアオガエル科に属する3属8種189頭のカエルを捕獲し,血液中に寄生するトリパノゾーマを検索した.その結果,第1表に示すように6型のトリパノゾーマとヘモグレガリンを検出した.そのうち次の5種を新種として記載した.Trypanosoma panjang MIYATA et YONG(宿主:Polypedates leucomystax,産地:マレーシア半島);T.sembeli MIYATA(宿主:P.leucomystax,産地:インドネシア・南スラウェシ);T.wallacei MIYATA(宿主:P.leucomystax,産地:インドネシア・北スラウェシ);T.oitaense MIYATA(宿主:Rhacophorus schlegelii,産地:大分県);T.prominani MIYATA et YONG(宿主:Rhacophorus prominanus,産地:マレーシア半島).T.oitaenseはT.wallaceiと近縁の種で,Trypanosoma loricatum型に属するが,虫体両端が突出した特異な形のトリパノゾーマである.この2種と類似したトリパノゾーマは,はかにマレーシア半島のRana blythiから発見されているだけである.T.panjangとT.prominaniは,ともにTrypanosoma rotatorium群のトリパノゾーマであるが,前者はこの群では異例のきわめて細長い種類である.

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© 1994 日本動物分類学会
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