植物組織培養
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多胚性カンキツの受精胚カルスからのクローン獲得
池田 稔吉田 雅夫
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1993 年 10 巻 1 号 p. 54-59

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抄録
多胚性カンキツの受精胚組織を起源とする胚化カルス経由の体細胞胚, すなわち雑種クローンの獲得について検討した. カラタチの花粉を交配して78日後の‘マルチーズブラッド’オレンジの胚珠を供試し, マイクロマニピュレータ用ガラスピペットで珠孔近傍から少量の組織片を摘出した. BAとNAAを一定量含む Murashige & Tucker (1969) 培地で培養してカルスを誘導し, malt extract 400mg・l-1および adenine 10mg・l-1添加した同培地に継代すると胚様体が再生された. その後, 実生化をはかったところ, 一部の処理区で三出葉を有する実生が観察された. 三出葉を有する実生の獲得率が高かったのは, カルスを誘導する際にBA 5.0mg・l-1とNAA 0.1mg・l-1, またはBA 1.0mg・l-1とNAA 0.1mg・l-1を加えた場合であった. 優勢形質である三出葉を有する実生は, 受精胚組織が脱分化した後に胚化して再生したものとみられ, 本手法によって雑種クローン増殖の可能性が示唆された.
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© 日本植物細胞分子生物学会
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