植物組織培養
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バイオトランスフォーメーションによるアルブチン生産において培養エイジの違いによる細胞自身の生産能の変化
横山 峰幸猪股 慎二柳 光男和地 陽二
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1996 年 13 巻 3 号 p. 285-290

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抄録

ハイドロキノン (HQ) を Catharanthus roseus 培養細胞に与え, バイオトランスフォーメーションによりアルブチンを生産する系において, 培養エイジの違いによるアルブチン生産能の変化を調べた. 同じ培地成分下での細胞自体の生産性の違いをみるために, 各エイジの細胞をナイロンメッシュで集め, あらためて新鮮なLS培地に移しアルブチン生産能を調べた. 比較として元の培地に移した場合の生産性も調べた. 元の培地に移した場合, 培養5日目 (対数増殖期) で生産性がピークになるのに比べ, 新鮮培地に移すとアルブチン生産性はエイジを経るに従い顕著に増加した. 元の培地に移した場合, 生産性が減り始めた培養6日目の細胞に薦糖 (1%) を補充すると, 生産性は大きく回復した. 結局, 細胞自体は培養を経るほどアルブチンの生産能力が高まることがわかった. 細胞内のUDPG供給量, ハイドロキノンの配糖化酵素活性, 及び細胞体積を測定したところ, アルブチンの生産に利用できるUDPG量の増大, 及び液胞の発達によりアルブチンの蓄積場所が大きくなることがHQの変換効率を上げる一要因になっていることが考えられた.

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© 日本植物細胞分子生物学会
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