PLANT MORPHOLOGY
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特集 I「ピレノイド:植物の相分離オルガネラのカッティング・エッジ」
はじめに
山野 隆志 平川 泰久松﨑 令
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2023 年 35 巻 1 号 p. 1-2

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抄録

ピレノイドは,葉緑体内でCO2 固定酵素RubisCOが集積することで形作られ,水圏における効率的なCO2 固定反応において中心的な役割を担う.ピレノイド研究の歴史は古く,主に形態分類学の分野を中心に行われてきた.しかし近 年,緑藻クラミドモナスのピレノイドが液-液相分離する性質の発見や,その相分離に必要な分子の発見など,エポック メイキングな研究が相次ぎ,ピレノイド形成の分子メカニズムに関する研究が大きく進展している.このような背景を受 け,日本植物学会第86回大会では,日本植物形態学会との共催のもとで,「ピレノイド:植物の相分離オルガネラのカッティング・エッジ」と題したシンポジウムを開催した.ピレノイドを持つ多様な藻類やツノゴケ類を用いてピレノイド研究を先導的に推し進めている研究者に講演していただき,ピレノイド研究の最前線を共有した.ピレノイドの形態の多様性や機能の普遍性を議論するとともに,今後の研究展望についても討論するシンポジウムとなった.

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© 2023 日本植物形態学会
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