2024 年 36 巻 1 号 p. 89-95
花粉管は被子植物の生殖プロセスに必須であることから,重要な研究対象である.特に花粉管の発芽や伸長,方向制御を担う分子の同定が進んでおり,これまでに重要な分子群が次々に明らかになってきている.近年,筆者らはこのような分子をコードする遺伝子群がいつ発現を開始して,花粉管機能がどのように獲得,維持されるかについて新たな仮説を提案した.そこで本総説では,この分野の近年の研究成果をレビューし,特にシロイヌナズナを用いた研究を中心に,時間的な遺伝子発現のタイミングに焦点を当てて考察する.さらにそれに基づき,植物の花粉管の遺伝子発現研究における今後の展望についても述べる.