PLANT MORPHOLOGY
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高等植物におけるGFPの利用
康夫 丹羽
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1998 年 10 巻 1 号 p. 22-29

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抄録
クラゲから単離されたGreen fluorescent protein(GFP)は,その名前が示すように,自身で緑色蛍光を発するタンパク質である.したがって,基質を必要としないユニークな新規レポーター遺伝子として,最近様々な分野で盛んに利用されている.ところが野生型GFPは,植物において利用する上でいくつかの問題点があった.そこで,植物を含む多くの真核生物での使用に適するよう改変したsGFP(S657)遺伝子を独自に全合成した.一過性発現系を用いた解析結果から,sGFP(S65T)は,核,プラスチド,ミトコンドリアへの移行シグナルと融合することにより,期待する細胞内オルガネラへの局在を高感度に検出することが可能であった.また,形質転換植物を用いた解析から,sGFP(S65T)に関しては,細胞内毒性が認められないことが明らかとなった.そこで,生体を用い,無菌条件下でGFPの発現量を定量化することを試み,可能にした.定量化に用いた個体からは,問題なく次世代を得ることができた.以上の結果からsGFP(S65T)は,発現量を指標としたプロモーター解析,変異体スクリーニング,ジーンサイレンシング解析等に利用できると考えられる.以上の結果をふまえ,核,プラスチド,ミトコンドリア各々の移行シグナルとsGFP(S65T)との融合タンパク質を恒常的に発現する形質転換シロイヌナズナを作成し解析した結果,様々な細胞について各々のオルガネラが生体観察可能であった.
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© 日本植物形態学会
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