本論文では、市町村の政策形成、決定過程における市町村会議員の役割について、保守主導の総与党化が顕著である石川県内の市町村を対象地域としている。本論文の分析内容は、各市町村の自治体政策過程に関わる多様なアクターにより構成される影響力構造の中での市町村会議員の位置、そして政策領域別の政策過程各段階における議員と行政間関係の実態と、議員の影響力について、市町村の中堅幹部と議員を対象に行ったアンケート調査と、これを補う為に行った政治・行政関係者などへのインタビュー調査の二つの社会調査の結果と、資料調査に基づく実証分析である。
分析結果から、石川県内の市町村における市町村会議員の役割について、重要な知見が得られた。その概要は市町村の政策過程において、先行研究の結果と類似した首長主導の影響力構造の下、執行部への政策提案活動と執行部の政策案策定段階での活動と影響力の行使による関与に力点をおき、行政側と議会過程以前での調整を重んじた活動に積極的であるとの結果が得られた。