抄録
災害対応における情報共有は極めて重要であるが、それを目的に整備されている災害情報システムは、平常時に活用しないことに伴う操作習熟不足などにより、災害時にも活用されづらいといった課題が指摘されている。本研究では、災害対応機関が使いやすい災害情報共有環境を構築することを目的に、災害時情報集約支援チーム(ISUT)が災害時に災害対応機関向けに運用するISUT-SITEを拡張した「ISUT-SITE(常時開設サイト)」の構築・運用の実践を行った。常時開設サイトは①平常時から利用できること、②災害時のシステムと同等の機能及び構成を持つこと、③情報過多にならない配慮の3つのコンセプトで構築し、令和4年3月末より運用を開始した。令和4年4月から12月までのアクセスログの分析において、常時開設サイトは138の機関によって利用され、合計7809回のアクセスがあったことを確認した。また、ISUT-SITEを開設しない規模の災害や平常時においても、複数の機関が情報を確認するためにサイトを利用していたことから、災害対応機関において、平常時における災害情報の共有ニーズがあることが示唆された。加えて、災害発生時には、常時開設サイトの利用からISUT-SITEへのアクセスが移行する傾向が見られ、平常時からの情報共有環境が災害時の情報活用を促進する可能性があることが示された。