社会参加をしている地域在住高齢者がもつ肯定的感情・否定的感情の実態を把握し、その性別および年齢層別の特徴を明らかにすることを目的とした。2013年大阪府A市在住の60~89歳の住民を無作為抽出し、無記名郵送自記式質問紙調査を実施した。返送率は43.3 %、社会参加している1213人(男性:56.2 %、平均年齢(SD):74.1(8.1)歳)の回答を分析した。肯定的感情では「いろいろな人と出会い、交流できる」(76.4 %)や「楽しみや生きがいが得られる」(61.7 %)等が高い割合を占め、女性では「楽しみや生きがいが得られる」(男性:56.4 %、女性:68.3 %)や「健康が維持・促進される」(43.8 %、50.0 %)が有意に高かった。一方、男性は「時間がつぶせる」(17.9 %、11.1 %)の回答が多かった。年齢層別では75~89歳の方が「楽しみや生きがいが得られる」の回答が有意に高かった(60~74歳:58.8 %、75~89歳:65.2 %)。活動に対する「不満はない」の回答は約75 %に上ったが、否定的感情としては「お金がかかる」(12.4 %)が最も多く挙げられた。男性は「あまり楽しくない」(3.5 %、1.0 %)の回答割合が高く、60~74歳では「仕事や家事とのやりくりがむずかしい」(7.1 %、3.4 %)「お金がかかる」(15.7 %、7.5 %)の割合が有意に高かった。「気力・体力が続かない」は75~89歳で有意に高かった(6.7 %、10.9 %)。以上より性別および年齢層別特徴が明らかとなり、満足感の高い社会参加の場づくりへの示唆を得ることができた。
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