実践政策学
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  • 久下 拓海, 亀井 大聡, 葉 健人, 土井 健司, 青木 保親
    2025 年11 巻1 号 p. 5-18
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国の公共交通では、利用者減少に伴う収入減やバス運転手不足が深刻化しており、その解決策として情報通信技術を活用した価値・情報空間におけるLoS向上施策が講じられている。このような施策の事業者視点での効果は確認されているが、利用者の利用意識や行動変容への影響、特に複数施策による複合的な相互効果は明らかになっていない。本稿では、国内初の本格的なゾーン制運賃を導入するとともに、運行ルートの再編、パターンダイヤの導入、キャッシュレス決済の導入の4つの施策を一体的に実施し、運行・運賃・決済に関わる公共交通改善施策を統合的に展開している香川県坂出市を対象に利用者調査を行い、バスの利用状況や各施策への利用者認識を把握した。結果、パターンダイヤ導入とバスルート再編を認知し、有用性を認識することがバス利用頻度の増加に影響することを特定した。また4つの施策に対して技術・施策受容型の同時方程式モデルを適用することで、施策の認知度の向上が有用性の認識を高め、それぞれの施策の有用性の認識には相互関係が存在し、複合的な効果が生じることを確認した。さらに、今後のバス利用意向には日々の習慣に根ざした体得知が強い影響を与えており、利用促進に繋がるための体験の場づくりが重要であることを示した。
  • 向井 智哉
    2025 年11 巻1 号 p. 19-24
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    これまでの研究では、投票は市民が刑事政策に参加するルートの中でも特に経験頻度の高いものであること、および候補者の態度は有権者の投票行動と関係することが示されていた。他方、刑事政策に関する公約の内容によって回答者の投票意図が変わるのかについては検討されていなかった。そこで、本研究は、厳罰的な公約を有する選挙候補者は、治療的な公約を有する候補者や犯罪に関する公約を有さない候補者と比べて、投票される確率が上がるのかを検討することを目的とした。具体的には、厳罰的な公約を有する候補者、治療的な公約を有する候補者、犯罪に関する公約を有さない候補者のポスターを提示し、それぞれの回答者の投票意図を尋ねた。497名分のデータを用いて分析を実施したところ、条件間で投票意図に相違があるとは言えないことが示された。その理由として、市民にとって犯罪対策は他の争点に比べて重要ではないとみなされていることを挙げたうえで、知見から得られる示唆について論じた。
  • 岸 茂樹
    2025 年11 巻1 号 p. 25-30
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    国内総生産(名目および実質のGDP)と税収(一般会計税収)との関係についてはさまざまな意見が見られる。たとえばGDPが増加することによって税収が増加するという意見がある一方、GDPと税収にはそもそも明確な関係性はないという意見もある。そこで本研究では名目および実質のGDPと税収の関係について非線形時系列解析を用いて調べた。非線形時系列解析はGDPと税収のように非線形な関係が想定される時系列データの因果を推定することができる。代表的な因果推定法であるConvergent Cross Mapping(CCM)を用いて名目GDPと税収、実質GDPと税収との関係を調べたところ、名目GDPから税収、税収から名目GDP、実質GDPから税収、税収から実質GDPのいずれの方向にも因果がみられた。そこでそれぞれの影響の強さをS-mapを用いて評価したところ、名目GDPから税収には負の効果がある一方、税収から名目GDPへは正の効果があることがわかった。反対に、実質GDPから税収には正の効果がある一方、税収から実質GDPへは負の効果がみられた。以上の結果は以下のように解釈できる。すなわち名目GDPと税収は同じ方向に変動するが税収のほうが変動が大きくなる。一方、実質GDPは数年のタイムラグをもって税収を増やす効果があるが、税収は約2年後の実質GDPを減らす可能性がある。つまり長期的に安定して税収を増やすには実質GDPを増やすべきであって、税収を先に増やすと実質GDPの低下を招くことが懸念される。
  • 西堀 泰英, 山下 真里佳
    2025 年11 巻1 号 p. 31-42
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    大阪市都心部では都心回帰によって人口が増加傾向にあり、それに伴って小学校の児童数が急速に増加し、教育環境に影響を及ぼしている。本研究では、都心回帰による児童数変化の実態を把握し、その要因を分析するとともに、都心回帰が教育環境に及ぼす影響の実態を明らかにすることを目的とする。児童数変化要因の分析では、既往研究を参考に、小学校区ごとの超高層集合住宅の立地、児童の学力、犯罪発生状況などを考慮した。超高層集合住宅の立地状況を考慮するため、国勢調査の小地域人口から算出した児童年齢人口を用いて分析を行った。本研究により得られた主な成果は以下の通りである。①超高層集合住宅の立地が児童年齢人口の増加に関係している実態を確認した。②児童数の増加に及ぼす影響は、超高層集合住宅の供給戸数が多いこと、児童の学力が高いこと、犯罪発生密度が低いことの順に大きいことを確認した。③増改築が行われた全ての小学校が、児童1人あたり運動場面積の基準を満たしていない状況にあることを確認した。④以上を踏まえ、短期的には児童数増加に対処する需要追随型の対策が必要となるが、長期的には住宅立地の需要を調整する需要管理型の対策が求められることを示した。
  • 神戸市東遊園地と横浜市山下公園を対象に
    土肥 真由香, 太田 尚孝, 新保 奈穂美
    2025 年11 巻1 号 p. 43-56
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年日本でも、ナイトタイムエコノミー(以下、NTE)の推進が注目されている。従来は観光庁による、観光コンテンツ開発の推進が施策として主であった。現在は各自治体も独自に推進のための事業や計画を実施している。中でも、政令指定都市のPark-PFIを実施する都市公園はNTEの場としてのポテンシャルがある。そこで本研究では、NTE推進の事業・計画がある政令指定都市に立地し、Park-PFIを実施する神戸市東遊園地、横浜市山下公園を調査対象とした。Park-PFIを通じた政令指定都市のNTE推進に必要な諸条件を、周辺環境や利用、実態の整理から明らかにした。その結果、以下のことが明らかになった。まず両対象地とも周辺建築物の1階部分の用途は、従来のNTEらしさの目立つものではなかった。市の担当課、Park-PFI事業者、周辺エリアマネジメント組織によって夜間の安全安心を確保しようとしている。さらに、それらの主体者は、都市公園での夜間イベント実施から周辺の飲食店に参加者を流しエリアから観光地としての集客力を持つ都市公園に回遊させるという形で、都市公園をNTEに関与させようとしている。以上のことから、都市公園の夜間の課題である利用者の安全安心は、周辺の事業者等と連携しながらの実現可能性があると言える。都市公園がNTEに関与する場合、今後ますますその関係主体が増えると考えられるが、その場合は主体者間で利益を分け合い連携する必要があると考えられる。
  • 駅前広場の整備に着目して
    宮﨑 友裕, 森田 哲夫
    2025 年11 巻1 号 p. 57-68
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、自家用車中心の交通特性を持つ地方都市において、駅前広場に着目し、現在の交通特性や住民の意見と整合する形で駅周辺のまちづくりを進める方法を考察することを目的に、群馬県みどり市の事例研究を行った。本事例では、人口密度が相対的に高い地区が駅から1 km以上離れており、駅へのアクセス交通手段は自家用車や自転車が主体である。アンケートの分析からは、地域住民・駅利用者ともに、駅前広場における自家用車の利便性や安全性に対するニーズが強いことを示した。ワークショップでは、意見の中から、住民のニーズや市としての実現可能性を踏まえ、駅前広場の整備を優先して行う方向で議論が進められ、駅前広場等に駐車場を設けて自家用車でのアクセスに対応する計画がまとめられた。駅前広場への自家用車の駐車場の設置は、短期的には住民のニーズを踏まえた計画であると言える一方、中長期的な課題として、駅のにぎわい機能の整備等に向け、立地適正化計画等の都市計画の活用も必要と考えられる。本事例から、駅周辺にDIDが無い等、現在は交通結節点や地域拠点としての役割が十分でない中小地方都市の駅の今後の方向性の示唆として、駅の地域拠点としての再整備に際し、短期的な対応としてP&R等が可能な駅前広場の整備を通じて駅利用者を広範囲から集めること、中長期的な課題として駅周辺の歩行・自転車利用環境の整備、駅に結節する公共交通網の強化、駅前広場の計画指針へ関係者の対話を追加すること、を挙げた。
  • 大畑 友紀
    2025 年11 巻1 号 p. 69-75
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国では在宅介護が政策として推進されており、今後自宅で介護を行う同居介護者の生活に影響を与える可能性がある。本研究では、暮らし方・働き方及び幸福感について同居介護実施者と非実施者間の比較を行い、自宅で介護を行うことによる時間的・環境的・精神的差異の実態を明らかにすることを目的に調査・分析を行った。東京都区部、広島市、福山市を対象にアンケート調査を実施し、傾向スコアマッチングにより個人属性を考慮した分析を行った。同居介護の有無による時間的差異を明らかにするため生活時間を比較し、平日・休日ともに同居介護がある方が家事に費やす時間が長く、同居介護がない方がその他自由な時間が長いことを確認した。環境的差異についてはテレワークの実施と仕事場所を比較し、同居介護していると自宅での仕事時間が長く、同居介護していないと自宅以外での仕事時間が長い。精神的差異として、5年前の自身や世の中の平均と比較した幸福感について、同居介護を行っている方が低く、介護により暮らし方に制約があることが一因となっている可能性がある。その対策として日常的に利用する施設や介護に関わる施設を充実させるといったハード面だけでなく、同居介護者を支援する制度の拡充を行うべきである。
  • 東日本大震災を対象として
    屈 銘涛, 嘉名 光市, 高木 悠里
    2025 年11 巻1 号 p. 77-90
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    東日本大震災以降、各地で震災の経験と教訓を次世代に伝えるための伝承施設が整備されてきた。その中でも、公園は慰霊・記録・教育など多様な機能を空間的に統合する場として注目されている。しかし、既往研究は個別の施設やプログラムに着目したものが多く、公園全体を対象とした体系的検討は限られている。本研究では、震災伝承施設を有する公園54箇所を対象とし、基本概要・防災施策・立地条件・伝承施設構成の4観点から情報を整理し、8タイプに類型化した。さらに、平面図等を用いて代表事例の空間分析を通じて、各タイプの構成傾向と特性を明らかにした。その結果、規模や整備主体により、防災教育・慰霊・遺構保存等の機能的重心の在り方に傾向が見られた。特に、大規模公園では多機能をゾーンごとに分散する構成が見られる一方、小規模公園では限られた空間に機能を集約する設計が主流であった。こうした分析を通じて、今後の防災・復興施策における公園整備の方向性と設計戦略に資する知見を得た。
  • 創業リーダーシップの発信とブランド価値の強化
    大嶋 淳俊
    2025 年11 巻1 号 p. 91-96
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    企業ミュージアム(Corporate Museums)は、企業の歴史や製品展示を通じた情報提供にとどまらず、ブランド価値強化のための戦略的ツールとしての役割を担うよう進化している。特に創業リーダーシップの発信を通じて、企業の「信頼性」「革新性」「文化的持続性」を強化し、訪問者に企業ブランドの価値を体験的に伝える役割を担っている。本研究では、企業ミュージアムが創業リーダーシップをどのように発信し、それがブランド価値にどのように寄与しているかを明らかにするため、37施設を訪問調査し、事例研究を行った。分析の結果、企業ミュージアムはストーリーテリング、体験型展示、技術革新の可視化を通じて創業者の理念や経営哲学を伝え、「感情的共感」「理念理解」「技術認知」の3つの経路を通じてブランド価値を強化していることが確認された。感情的共感は創業者の人生哲学や経営理念を通じて訪問者に企業の「誠実さ」や「社会的責任」を伝え、理念理解は創業者および歴代経営者の価値観を示し、企業の「文化的持続性」を強調する。また、技術認知は企業の技術革新や製品開発の歴史を示し、訪問者に「革新性」とブランドの先進性を認識させている。本研究は、企業ミュージアムの戦略的役割を体系的に示し、創業リーダーシップの発信がブランド価値強化に与える影響を実証的に考察した。
  • Bluetoothを用いた検討
    西脇 雅人, 轟 朝幸, 兵頭 知, 吉岡 慶祐, 古竹 孝一
    2025 年11 巻1 号 p. 97-104
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    公共交通の維持活性化のための計画策定やきめ細やかな施策展開のためには、日々の利用者の乗車・降車(OD)を把握することは欠かせない。継続的にOD交通量を取得するシステムの構築によって、施策による利用者の動向を詳細に把握することが可能となる。都市部の鉄道では、自動改札機の通過実績データなどが利用されているが、地域鉄道では高額な設備投資などの問題から、OD把握が難しい。そこで、スマートフォンなどのBluetooth Low Energyを活用すれば、利用者ODデータを簡便かつ低コストで取得できる可能性がある。しかし、プライバシー保護の観点から、BluetoothのMACアドレスがランダムに変更される「ランダマイズ」が近年普及しており、そのデータにおいてもOD推計の手法を検討する必要がある。本研究ではランダマイズの影響を考慮したOD交通量推計手法を構築し、Bluetoothを用いて鉄道車両内の利用状況を観測したデータを用いた調査を行った。加えて同時に実施した乗降調査による検証を行った。その結果、地域鉄道においてランダマイズの影響下であっても、利用者OD推計を行える可能性が示された。また利用者ODデータの活用方策について検討を行い、需要変動の予測による列車増結の判断や、イベント開催による集客予測への活用を提案した。
  • 樹木の維持管理を中心に
    谷口 るり子
    2025 年11 巻1 号 p. 105-117
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    大阪市では、現行の緑の基本計画である「大阪市緑の基本計画〈2013〉」が2025年度をもって計画期間が終了するため、現在「大阪市緑の基本計画〈2026〉」が検討されている。本論文では、2025年1月に公表された「大阪市緑の基本計画〈2026〉(素案)」と、この計画を議論している「みどりのまちづくり審議会」の資料を基に、「大阪市緑の基本計画〈2013〉」に基づく取り組みの内容と大阪市による自己評価を紹介したうえで筆者としての評価を行った。その結果、高木と中低木の合計本数の増加を根拠に緑の都市基盤は一定程度整備されたとしているが、高木を大量に伐採して高木本数を大きく減らしたことには触れていないこと、身近な緑の満足度が低下したのは緑が存在するのに実感されていないからという間違った認識をしていること、緑視率の調査方法に問題があること等が分かった。次に、大阪市緑の基本計画〈2026〉(素案)」の改善点・問題点を探ったところ、街路樹・公園樹に関する言及量の増加、目標樹形の設定等の改善点が見られた。また「大阪市緑の基本計画〈2013〉」で削除された「樹木樹林率」という指標の復活も確認できた。しかし、緑視率の測定箇所は追加はされるがなお集客エリアに偏っている、樹木の計画的な更新の具体的な内容が記載されていないためこれまでのような不適切な樹木の伐採が継続する懸念が残る、団体に所属していない市民と行政との連携・情報共有の方法が示されていない等の問題点も見つかった。次期計画のパブリック・コメント終了前にこれらの問題点を提示することで、より良い緑の基本計画が策定されることを願う。また、本論文で指摘した問題が他の都市部の自治体での次期緑の基本計画の策定の際に参考になると考える。
  • 加古川流域自治体を対象に
    五十石 俊祐, 太田 尚孝
    2025 年11 巻1 号 p. 119-134
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、水害対策における「多様な工夫の収集・整理・共有」及び「土地利用の状況に合わせて検討された工夫」を把握することを目的に、加古川流域自治体に対して浸水被害発生地区とそこでの水害対策の実態を調査した。あまり一般的でない水害対策(水害対策を体系的に整理している既往研究に記載されていない対策)をその自治体の工夫と定義し、GISデータを用いて整理した流域自治体における浸水被害発生地区の土地利用の特徴と当該自治体の工夫の関係を整理した結果、「防災マップに抽選くじをつける」「建物内での垂直避難の呼びかけ」「避難時要支援者の避難計画作成」「地区住民と協働で対策を検討」「地区で樋門を管理・運用すること」「ワンコイン浸水センサ実証実験」「農業用ポンプでの排水」「橋梁架け替え」の8種類が、加古川流域自治体で行われている工夫として整理できた。また、このうち、「建物内での垂直避難の呼びかけ」「避難時要支援者の避難計画作成」は外水氾濫のリスクがある地区もしくは市街化が進んだ低標高の地区で、「農業用ポンプでの排水」は川上から川中に点在する水田の多い地区で、「地区で樋門を管理・運用すること」「ワンコイン浸水センサ実証実験」は川中から川下に点在する建物が比較的低い場所に立地している地区で、「橋梁架け替え」は橋梁の多い川下の都市的な地域で有効な工夫であると整理できた。
  • 上村 祥代, 石岡 勇人
    2025 年11 巻1 号 p. 135-142
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    現在、日本では高レベル放射性廃棄物処分地は決まっていない状況である。本処分地の選定を進めるためには、国民の関心と理解が重要になる。しかしながら、特に若者における関心や理解の低さや、これら醸成を目的としたイベント・情報への参加・利用の低さに課題がある。本研究では、高校生・大学生を対象としたデジタルゲームを活用した対話イベントを実施し、対話イベント前後に実施したアンケート調査の結果を基に関心・理解度の変化、対話の場の評価、今後の対話イベントへの参加意欲、他者への参加の働きかけの意思について分析考察を行い、新しい対話方法の効果を明らかにした。しかしながら、改善点も残されていることから、今後の研究課題として、従来の対話方法よりも高レベル放射性廃棄物処分への関心や理解を高めるための、デジタルゲームの再考やテーマ設定による影響検証・、進行方法などの検証が必要である。
  • 自治会長および住民アンケート調査に基づく分析
    稲垣 迪和, 児玉 欣輝, 林 和眞, 近藤 早映, 小野 悠
    2025 年11 巻1 号 p. 143-152
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、自治会におけるICTツール導入が進められているが、高齢の自治会役員や住民のデジタル・ディバイドの懸念が導入の障壁として指摘されている。本研究は、ICTツールの導入を決定した愛知県豊橋市の松山校区自治会を対象に、正式導入前の自治会長および住民の導入意向を明らかにすることを目的に実施した。住民の属性、インターネット利用状況、自治会や地域社会との関わりに着目し、町自治会長15名と住民759名からのアンケート回答を基に分析した。調査の結果、自治会長はICTツール導入に関心を持ちつつも、高齢者層のデジタル・ディバイドへの懸念から、不安も抱えていることが明らかになった。また、住民は関心と不安の有無により積極グループ(21 %)、不安グループ(12 %)、否定グループ(11 %)、無関心グループ(56 %)の4つに分類できた。さらに、年齢やインターネットの利用有無だけが導入の障壁ではなく、自治会活動への参加状況や地域とのつながりが導入意向に影響していることが示唆された。特に、住民の半数以上が無関心グループに分類されており、自治会や地域への関心の欠如がICTツール導入の大きな障壁となっていることが示された。ICTツール導入を円滑に進めるためには、積極グループを中心に導入の機運を高めるとともに、不安グループには十分な説明とサポートを提供し、無関心グループに対しては、自治会活動への関心を引き出す取り組みが求められるなど、各住民グループの特性を考慮したアプローチが不可欠である。
  • ISUT-SITE(常時開設サイト)の事例を踏まえて
    佐藤 良太, 佐野 浩彬, 吉森 和城, 遊佐 暁, 竹 順哉, 風見 東明, 臼田 裕一郎
    2025 年11 巻1 号 p. 153-164
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/25
    ジャーナル オープンアクセス
    災害対応における情報共有は極めて重要であるが、それを目的に整備されている災害情報システムは、平常時に活用しないことに伴う操作習熟不足などにより、災害時にも活用されづらいといった課題が指摘されている。本研究では、災害対応機関が使いやすい災害情報共有環境を構築することを目的に、災害時情報集約支援チーム(ISUT)が災害時に災害対応機関向けに運用するISUT-SITEを拡張した「ISUT-SITE(常時開設サイト)」の構築・運用の実践を行った。常時開設サイトは①平常時から利用できること、②災害時のシステムと同等の機能及び構成を持つこと、③情報過多にならない配慮の3つのコンセプトで構築し、令和4年3月末より運用を開始した。令和4年4月から12月までのアクセスログの分析において、常時開設サイトは138の機関によって利用され、合計7809回のアクセスがあったことを確認した。また、ISUT-SITEを開設しない規模の災害や平常時においても、複数の機関が情報を確認するためにサイトを利用していたことから、災害対応機関において、平常時における災害情報の共有ニーズがあることが示唆された。加えて、災害発生時には、常時開設サイトの利用からISUT-SITEへのアクセスが移行する傾向が見られ、平常時からの情報共有環境が災害時の情報活用を促進する可能性があることが示された。
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