小児リウマチ
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血小板減少を契機に診断に至った 小児期発症全身性エリテマトーデスの5 例
加藤 彩岸 崇之谷 諭美山本 陽子鶴田 敏久宮前 多佳子針谷 正祥永田 智
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2020 年 11 巻 1 号 p. 24-29

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抄録
血小板減少は,全身性エリテマトーデス(SLE)において,経過中の7~30%に合併すると報告さ れており,初期症状として15%以下の患者に認められる.また,二次性免疫性血小板減少性紫斑 病(ITP)の最も多い原因はSLEである.血小板減少を契機に診断に至った小児期発症SLE5例を報 告する.発症時年齢は5~14歳(中央値11歳)で,4例が女児であった.2例は下腿の発疹により,3 例は他疾患の検査で偶然に血小板減少に気づかれた.1例が抗リン脂質抗体症候群(APS),4例は ITPとして治療されていたが,血小板減少が進行し当院へ紹介となった.当院初診時の血小板数は 0.1~9.3万/μLで,5例とも旧・厚生省研究班小児SLEの診断の手引きの分類基準に合致した.SLE disease activity indexスコアは7~14点と疾患活動性は高かった.4例は抗リン脂質抗体陽性であり, そのうち2例は抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断に合致した.プレドニゾロン静注,もしくはメ チルプレドニゾロンパルス療法にて治療開始し,血小板数,SLEの疾患活動性は改善した.治療抵 抗性のITPを診た際には,SLEまたはAPSの鑑別を念頭におき自己抗体の検索が必要と考えられる.
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© 2020 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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