小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
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招待解説論文
解説論文
委員会報告
症例報告
  • 西村 由依, 石田 宏之, 友安 千紘, 岡野 創造, 奥沢 康太郎, 香月 奈穂美, 秋岡 親司
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 14 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/05/10
    ジャーナル フリー

    菊池病に伴ったEpstein-Barrウイルス(EBV)感染症に合併した円板状エリテマトーデス(DLE)の症例を経験した.症例は7歳男児.発熱と頚部リンパ節腫脹を認め,菊池病と診断した.ステロイド加療を開始後,いったん症状は軽快したが,治療終了とともに再発熱と頚部リンパ節腫脹の増悪に加え,頬部と手掌・足底に滲出性紅斑が出現した.初診時EBV-VCA-IgGと全血EBV-DNA量が高値,EBNA陰性でありEBV初感染と考えられた.頚部リンパ節生検で再度菊池病であることを確認した.その後,全身所見は自然に改善したが頬部紅斑のみ増悪した.抗Ro抗体,抗ds-DNA-IgM抗体,抗Sm抗体,抗RNP抗体が一過性に陽性となり,臨床的・皮膚生検所見からDLEと診断した.紅斑はタクロリムスの外用で改善し,その後,EBV-DNAは感度以下となり,自己抗体もすべて陰性化した.菊池病に伴うEBV感染を契機に自己抗体が産生され,菊池病と類似した分子メカニズムをもつDLEを発症したと考えられた.

  • 宮岡 双葉, 真保 麻実, 伊良部 仁, 金子 修也, 清水 正樹, 森尾 友宏
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 14 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/05/10
    ジャーナル フリー

    全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)の急性ループス肺炎(acute lupus pneumonitis:ALP)を初発症状とした2例を経験した.症例1は7歳女児.労作時呼吸困難が8か月前から先行したのちに発熱・蛋白尿・血尿等からSLEと診断された.胸部CTでは両側下葉優位にすりガラス影を認めた.ステロイドパルス療法等の治療により4週間ですりガラス影は消失した.症例2は14歳女子.発熱・蛋白尿・血尿等からSLEと診断されたが呼吸器症状はなかった.胸部CTでは右下葉に気管支血管束周囲の不整形陰影を認めたが,治療後には消失した.ALPは無症状のものから気道症状を伴うもの,また他臓器病変に先行するものから同時発症するものまで幅広く,特にALPが他臓器病変に先行する例ではSLEの診断は困難になる.間質性肺炎の原因疾患として,気道症状を有さない場合でもSLEの臓器病変として,ALPを検索することが重要である.

  • 松浦 萌, 江波戸 孝輔, 上松 由昌, 芹澤 陽菜, 金子 雅紀, 坂東 由紀, 石倉 健司
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 14 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/05/10
    ジャーナル フリー

    急性虫垂炎との鑑別に苦慮した小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C)の1例を経験した.症例は生来健康な9歳女児.発熱,下痢,腹痛を主訴に急性虫垂炎が疑われ当院へ紹介となった.画像所見から穿孔性虫垂炎の懸念があり腹腔鏡下虫垂切除術を施行したが,手術所見や病理検査ではカタル性虫垂炎であった.全身麻酔導入後に血圧低下し昇圧薬の持続投与を要した.術後も血圧安定せず,発熱は持続していた.原因検索を行う中で,入院時に指趾の硬性浮腫,眼球結膜の充血や頚部リンパ節腫脹があり,入院1か月前にCOVID-19みなし陽性の既往があることが判明しMIS-Cが疑われた.免疫グロブリン大量静注療法,メチルプレドニゾロンで加療開始後速やかに症状は改善し,SARS-CoV-2抗体陽性が確認されMIS-Cと確定診断した.MIS-Cは多彩な症状で発症し急激にショック病態に至ることが報告されている.COVID-19罹患歴のある症例では鑑別疾患として十分考慮し,適切に治療を開始する必要がある.

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