2025 年 15 巻 1 号 p. 4-10
潰瘍性大腸炎は原因不明の炎症性腸疾患であり, 患者数は世界的に増加傾向にある.自己免疫機序による大腸のバリア機能破綻が病態に関与するとされているが, 今日まで病因解明には至っていない.我々は抗インテグリンαvβ6自己抗体がUC患者特異的に認められることを発見した.さらに抗インテグリンαvβ6自己抗体がUC患者の大腸上皮細胞に結合すること, インテグリンαvβ6-フィブロネクチン結合を阻害すること, その抗体価が疾患活動性と相関することを見出した.また, 成人と比較して重症化しやすく, 早期診断が求められる小児UCにおいても抗インテグリンαvβ6自己抗体が高感度で認められ, 診断に有用であることを示した.インテグリンαvβ6は上皮バリア機能維持に重要な役割を果たしており, 抗インテグリンαvβ6自己抗体は潰瘍性大腸炎の診断・疾患活動性評価のバイオマーカーとして有用であるのみならず, 病態形成に関与する新規治療ターゲットとなる可能性がある.