抄録
当科では,若年性線維筋痛症 juvenile fibromyalgja:JFM)に対して,環境分離を主軸とする入院治療
を行ってきた.入院の適応は,重症例もしくは社会的因子が病状に強く影響している場合である.
入院では,規則正しい生活と院内学級通学,リハビリテーションが治療の中心であり,同時に環境調
整(家族や学校との面談)を進め,必要に応じて薬物療法を併用する.
2001年3月~2012年12月までの期間に,当科で入院加療したJFM患児32例について,その効果と
実際について検討した.結果は,臨床症状と重症度において,退院時のステージが17例(53%)で改
善し増悪は1例のみだった.また,入院中9例(31%)に圧痛点の減少があり,うち6例(19%)は退
院時に圧痛点が消失した.入院時に不登校の患児は25例(78%)で,うち9例(36%)が退院後3か月
の時点で登校可能となった.
入院治療による多面的なアプローチは,JFMの症状改善に有効と考えられた.