抄録
症例は13歳の女子.感冒症状を訴えて当科外来を受診した.発熱はなく,顔面に蝶形紅斑を認め,
上肢伸側に掻痒を伴う小丘疹が散在していた.また,四肢近位筋優位の筋力低下が明らかであった.
蛋白尿を認め,血液検査ではクレアチンキナーゼが 6,802 IU/Lと著明な高値を示した. MRI検査で両
側大腿前部を中心に筋炎所見がみられた.若年性皮膚筋炎と診断し,初期治療としてステロイドパル
ス療法を2クール行ったが効果が不卜分であったため,シクロホスファミド静注パルス療法を行ったところ著効し,
筋力は回復した.しかし,シクロホスファミド静注パルス療法の投与間隔を延長した際に,筋原性酵素が再上昇したため,
シクロホスファミドを中止し,ミゾリビンに変・更した.これにより,筋原性酵素は低下し,経[ステロイドの漸減が可能となった.
シクロホスファミド静注パルス療法は,副作用の問題から継続的投与は困難であるが,比較的副作川の少ないミゾリビンは難治例に
対して有効であることが示唆された.