日本草地研究会誌
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牧草の堤塘保全能力について
築比地 五三郎奈良 知嘉三
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1958 年 3 巻 3-4 号 p. 83-90

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抄録
私達は牧草の堤塘保全能力を知るため,多くの試験調査をなしつつあるが,とりあえず表題と最も関係の深い4つの事項について明かにした,1.堤塘に牧草を導入した場合,その種類により流去水,流去土砂量を異にし,流去水の多い区はシバ,少ないのがクロバー区でオーチャード区は中間にある。流去土砂量はシバ区が少なく,クロバー区に多く,オーチャード区はシバ区に近い中間を示した。2.草の種類により土壤硬度を異にする。一般にクロバー類は表土を膨軟化し,禾本科は硬くする。このことは土壤硬度計による測定,間接的に牧草に生育するメヒシバの抜根抵抗測定,水の浸透速度等による試験結果も同様の成績を得た。3.牧草の種類により,根群がもつ土の把握力を異にする。クロバー類は投下水洗に対する抵抗が弱く,150回の洗落土砂量は1年生で99%以上,2年生で84%以上であつたが,シバは59.4%その他禾本科牧草は48〜51%内外で把握力が強い。4.牧草の種類により,モグラ害を異にし,ラデノクロバーの被害率大きく,禾本科牧草は少い。このことは,土中の昆虫存否と関連し,殊にヒメコガネ虫幼虫を中心として大豆跡作地やラデノクロバー畑に多い。
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© 1958 日本草地学会
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