霊長類研究 Supplement
第27回日本霊長類学会大会
セッションID: P-40
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ポスター発表
飼育ゴリラ集団における12年間の近接関係の変化
*中道 正之SILLDORFF AprilSEXTON Peggy
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抄録
 サンディエゴ・ワイルド・アニマルパーク(カリフォルニア州)で飼育されているゴリラ集団にける12年間の近接関係を分析した。1997年10月から2009年3月までの12年半の間に、春(3-4月)及び秋(10-11月)の18期間の観察を断続的に行った(合計観察日数:総計135日)。スキャンサンプリングを約1時間に1回(1997年から2000年までの期間、計280スキャン)あるいは30分に1回(2000年から2009年までの期間、計934回)を行い、互いに5m以内にいた個体を近接個体として記録した。1頭のシルバーバック(第1位オス)、及び3頭のオトナメスは観察期間の12年間を通して集団内で暮らしていた。その他に、観察期間に集団内で誕生した個体2頭、観察開始時期には、子どもや、若オス、若メスであったが成長して、集団を移った個体が、オス4頭、メス5頭であった。観察期間中の最大個体数は13頭、最小個体数は6頭であった。
 オスでは、成長に伴って、幼少期には50%以上あった母との近接の生起頻度が徐々に減少し、7、8歳以降の時期になると、母との近接頻度は母以外の成体メスとの近接頻度と同程度の低いものとなった。また、4歳から6、7歳頃までは、集団の第1位雄であるシルバーバックとの近接頻度は比較的高いものであったが、それ以降は低下していた。そして、7、8歳の時期からは、ひとりで過ごす(10m以内に誰もいない状態)割合が上昇した。
 メスでも、成長に伴って、母との近接の頻度は低下し、7、8歳頃には、母との近接頻度は他の成体メスとの近接頻度と同程度に低下していた。他方、他のメスとの近接頻度の上昇も確認できなかった。
 これらのオスとメスの発達に伴う集団メンバーとの近接頻度の変化は、多くの野生ゴリラでは、オスもメスも繁殖年齢に達する8歳頃から14、5歳頃に生まれた集団を離脱するという傾向を反映したものと考えられる。
 先行研究の指摘と異なり、シルバーバックとオトナメスの近接関係は、オトナメスが子どもを持つかどうかに関係なく、長年にわたって変化しない傾向が認められた。
 本研究のような長期の近接関係の記録は、野生場面では収集が難しい長期的な個体関係の資料を補完するだけでなく、飼育集団の維持・管理の観点からも重要であると言える。
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© 2011 日本霊長類学会
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