霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-67
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ポスター発表
四国産コウモリ類の超音波音声採取
*谷岡 仁*谷地森 秀二*美濃 厚志*金川 弘哉
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抄録

 コウモリ類の非捕獲的調査方法については,近年ではバットディテクターを用いた超音波音声モニタリングの研究結果から,種の識別が可能となってきている.この手法は捕獲調査を補う手法として有効な手法と考えられるが,その前提条件として調査地域に存在する種の音声構造を事前に把握しライブラリー化しておくことが必須とされている.国内各地でこうしたライブラリーが作成されはじめており,四国地方においてもライブラリー作成と種判別に資する情報整理が期待される.
 筆者らは,2012年より四国周辺のコウモリ類の録音による音声採集及び基礎的な情報整理を開始した.捕獲調査により得られた個体については蚊帳内や室内を飛翔中の音声,捕獲個体の放獣後の飛翔時に発する音声の録音を試みた.人工トンネルなどに生息する既知のコウモリ類や家屋性のアブラコウモリ Pipistrellus abramusでは,飛翔時の音声の録音を試みた.その結果,現在までに キクガシラコウモリ Rhinolophus ferrumequinum,コキクガシラコウモリ Rhinolophus cornutus,アブラコウモリ,モモジロコウモリ Myotis macrodactylus,ノレンコウモリ Myotis bombinus,クロホオヒゲコウモリ Myotis pruinosus,ユビナガコウモリ Miniopterus fuliginosus,テングコウモリ Murina hilgendorfi,コテングコウモリ Murina ussuriensisの 9種の音声を得た.それら音声のソノグラムから,パルス(主に精査音)の形状とパルスの周波数や持続時間を測定し,整理を進めている.
 本報告は,現在までの整理結果を示すものである.

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© 2013 日本霊長類学会
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