霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-139
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ポスター発表
北海道東部浦幌町におけいるヒグマ駆除数の推移 (1967―2012 年)
*佐藤 喜和
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抄録

 北海道東部に位置する浦幌町では,ヒグマ Ursus arctos による農地や集落付近への出没,農作物への被害などの軋轢対策として有害駆除が行われてきた.1990年後半以降は,北海道内の他地域と同じように軋轢が増加し,駆除数も増加したが,軋轢は軽減されることのないまま現在に至っている.そこで駆除に関する記録について,捕獲数と捕獲個体の性・齢クラス,捕獲方法,捕獲季節,捕獲地点との関係を改めて検討した.浦幌町役場は 1967年以降の駆除に関する記録を蓄積しており,長期的な駆除数の推移を検討するのに適した資料が得られた.
 1967-2012年までの 46年間に 207頭(年平均 4.5頭)のヒグマが駆除された.捕獲数は年により大きく変動したが,捕獲数の多かった 1970年代,低下した 1980年代後半から 1990年代前半,再び増加した 1990年台後半以降というトレンドを示した.捕獲方法別に見ると,1990年代後半以降は銃による捕獲数が低下し,箱ワナを用いた駆除数が増加していた.2000年代後半からは,箱ワナによる捕獲数も銃による捕獲数も多い傾向にある.季節別にみると,捕獲数が少なかった 1980年代後半から1990年代前半には秋(10-12月)の駆除数が多いのに対し,捕獲数が再び増加した 1990年台後半以降は,秋の捕獲数は少なく,晩夏(8-9月)の捕獲数がまず増加し,それを追うように初夏(6-7月)の捕獲数が増加していた.性・齢クラス別傾向としては,1990年台後半以降,初夏に成獣オスの捕獲数が増加する傾向が見られ,2000年台後半以降は初夏に亜成獣オスの捕獲数が増加する傾向がみられた.捕獲地点別に見ると,捕獲数が増加している地区は箱ワナによる捕獲が多かった.

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© 2013 日本霊長類学会
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