抄録
野生動物の行動の研究は,これまで直接観察法が主体であった.しかし,多くの野生動物は人間を忌避し,観察が困難な場合が多い.野生動物に超小型撮影装置を装着し,動物側から撮影し情報を収集することで,生息環境,採食物の種類や量,個体間との関係について,より詳細に情報収集することが可能となる.報告者は,昨年,ニホンザルの首に装着可能な超小型ビデオカメラを開発し,新技術の有効性について報告した.本研究では,さらに,ビデオカメラを小型化し,動物への負担を軽減するとともに,バッテリーの蓄電量を上げ,長期間の撮影を試みた.撮影機本体は,電源とともに防水ケースに収納し,脱落機能の付いた発信器首輪 に取り付けた.総重量は,200g とした.カメラは,内蔵の超小型タイマーを利用して,録画時間の設定を行った.この機能を利用することで,省電力が可能となった.撮影スケジュールは,スキャニング法を用いて,朝 6時から夕方 6時の 12時間を 30分間隔で 5分間撮影させた.120分 /1日のスケジュールで,1週間撮影を設定した.録画媒体は,小さく軽度で記録容量が多い SD カードを採用した.捕獲不動化したニホンザルの首下にカメラを装着し,指定した時間に脱落させ,後日,カメラを回収し動画を解析した.その結果,生息環境,採食物,個体間の関係のデータを入手することができた.採食物は,6種が確認できた.本法は,今後,バッテリーとメモリー容量を上げることで,さらに詳細なデータが入手できると思われた.