抄録
哺乳類の前腕筋についてはStraus(1942)は,独自に発生したもので両棲類,爬虫類の構成との連続性がないと述べた.Abdala & Diogo(2010)は両棲類,爬虫類の前後肢の筋の系統発生を論じた.残念ながらこれらは筋の形状などを検証したもので支配神経の所見や考察を欠く.山田(1986)は,ヒト前腕屈筋の精査を行い筋の形状,支配神経の所見,神経の線維解析結果に基づき,浅指屈筋が,浅層筋のみではなく深層筋を含んでいること,最浅層に位置する長掌筋が深層筋から派生していることを明らかにした.本研究では原猿類,爬虫類,両棲類の前腕を精査した結果,一貫した筋分化の傾向があることを確認した.哺乳類では前腕屈筋群は,前腕の回内,肘関節,手首関節,近位指節関節,遠位指節関節の屈曲に機能する筋群からなっており,それらの分化様式は一貫している.