霊長類研究 Supplement
第31回日本霊長類学会大会
セッションID: B18
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口頭発表
タイにおける新第三紀哺乳類層序とヒト上科化石産出層準の年代
仲谷 英夫三枝 春生國松 豊ハンタ ラタナポンタソッド ユパ田中 里志長岡 信治
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抄録

タイの新第三紀の地層からは、最近ヒト上科化石が知られるようになってきたが、その年代には不明な点が多かった。従来、タイのこの時代の地層は、放射年代が測定できる鍵層を含まないため、小哺乳類化石層序の検討から、シワリク地域の中期中新世(約1600~約1400万年前)に対比されていた。その後、日本の調査隊の詳細な野外調査に基づく岩相層序や古地磁気層序の解明と、新たな哺乳類化石の発見と、ユーラシア各地の化石層序を対比することにより、従来の研究とは異なり、新第三紀前期中新世後期から第四紀前期更新世までの広い年代(約1900~約100万年前)の地層が含まれていることが分かった。タイの新第三紀の哺乳類生層序区分は中新世は5つの生層序帯に区分でき、そのうちチェンムアン炭鉱産のヒト上科化石の年代は1200~1100万年前の中期中新世最末期から後期中新世最初期に対比され、ターチャン・サンドピット産のヒト上科化石の年代は900万年以降の後期中新世に対比された。

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© 2015 日本霊長類学会
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