霊長類研究 Supplement
第31回日本霊長類学会大会
セッションID: P9
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ポスター発表
ニホンザルにおける他個体間の親密度に応じた休息時の接近行動
島 悠希
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抄録
群れ生活をする霊長類では、個体は、他個体との様々な関係の中で、柔軟にふるまいを「変化」させる。例えば、自分以外の他個体間の優劣や血縁関係に応じ行動することが知られ、第三者の立場で関係を認識していることが示唆されている。本研究の目的は、休息場所に来て休息を始めた個体(休息開始個体)に着目し、休息中の他個体に対する接近行動が、自分以外の他個体間の親密度に応じ変化するか、三者的状況において検証するものである。屋久島西部低地林のニホンザルE群(14頭)を対象とし、親密度、休息開始個体の行動、接近相手(接触相手もしくは最近接個体)とそれ以外の休息個体を記録した。接近行動には、相手に対し接触する接近(接触)と、接触しない接近(非接触)がある。また、三者的状況とは、接触事例では接触相手が、非接触事例では休息開始個体にとっての最近接個体が、他個体とグルーミング中であった事例のことであり、それ以外の休息個体は考慮しない。親密度はグルーミング頻度で評価した。まず、休息場所に複数の個体がいた接触事例を分析したところ、休息開始個体と接触相手の親密度は、それ以外の個体より高かった。さらに、休息開始個体との親密度が群れの中で最も高い個体がいた場合はその個体を、いない場合はその時点でいた個体のなかで最も高い個体を、接触相手とすることが多かった。次に、三者的状況を、休息開始個体と接近相手の親密度が、接近相手とグルーミング中の個体の親密度にくらべ高い場合と低い場合に分けた。各場合において、接触と非接触の割合を比較したところ、前者では接触が、後者では非接触の割合が高かった。以上のことから、サルは、他個体と親和的に過ごす休息時、親密度がより高い個体を接触相手とし、また三者的状況においては、他個体間のグルーミングを介した関係に応じ、接近行動を変化させており、第三者の立場で個体関係を認識している可能性が示唆された。
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© 2015 日本霊長類学会
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