ヒト以外の霊長類、とくに真猿類の多くは雑食であり、植物性食物に加えて動物性食物も摂取している。そして主要な動物性食物は昆虫をはじめとする無脊椎動物であることが多い。しかしながら、ヒト以外の霊長類が鳥類や哺乳類の肉をまったく食べないわけではなく、多くの種で肉食行動は観察されている。アフリカに生息する霊長類種の中では、ヒト科のチンパンジーによる肉食が有名である。しかし樹上性グエノン類においてもこの行動は観察されている。ウガンダ共和国カリンズ森林には、3種の樹上性グエノン類(レッドテイルモンキー、ブルーモンキー、ロエストモンキー)が生息しており、これまでの観察で3種すべてにおいて肉食行動が観察されている。さらに2015年8月に、ロエストモンキーにおいて、肉食行動に加えて肉を分配する行動を初めて観察した。この事例では、ネズミ(種不明)を採食していたおとなオスが、発情していたわかものメスに肉を分配することが観察された。この事例は、ロエストモンキーにとどまらず、樹上性グエノン類における肉の分配行動に関する初めての観察例であると思われる。本報告では、この事例を中心に樹上性グエノン類における肉食行動やその分配行動の意義について考察する。