霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: P16
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ポスター発表
Raspberry Piを用いたマーモセット運動機能解析装置の開発
*大石 高生福冨 憲司上野 瑠惟高田 昌彦
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抄録

コモンマーモセットは霊長類の中では小型で多産であり,近年遺伝子改変も可能になったため,疾患モデル,特にパーキンソン病などの神経疾患モデルとしての利用が進展してきた。マーモセットは精密把握動作ができないため,上肢の運動機能を評価するためには,ラット用に開発された階段型装置を用いる課題を改変した課題が一つの標準となっている。その課題では,マーモセットは透明な板に開けられたスリットから手を出し,数段の階段型の装置の上に置かれたエサを取る。すなわち,スリットから突き出した腕を曲げ,エサの位置に手を持って行き,エサを把握してから自分の口元に運ぶことが要求される。スリットから手を出すことが可能になってから最初のエサを取るまでの時間や,全てのエサを取り終えるまでの時間,成功率などが評価の指標である。マーモセットの運動は素早いため,高速ビデオで撮影し,コマ落としでデータを解析する必要があり,極めて煩雑かつ非効率的であった。我々はこの問題を解決するために,運動機能評価課題の時間計測を自動化する装置を開発した。この装置は,(1)センサー付きの階段型装置と(2)センサー情報を記録,通信する小型コンピュータ,(3)記録用と解析用のソフトウェアからなる。センサーとしてはフォトトランジスタ―を用い,スリットのシャッターの開閉,マーモセットのエサのスリット通過,階段型装置上の10か所のエサの有無に関する情報を取得する。コンピュータとしては小型,安価でバッテリー駆動が可能であり,通信機能を有するRaspberry Piを用い,プログラムはPython言語で記述した。1台当たりの材料費は2万円以下であり,装置全体をマーモセット用ケージの前面に外部との配線なしに設置可能である。本装置では,13チャネルのアナログデータを約2.5ミリ秒ごとに取得でき,マーモセットが課題遂行した際のデータを1秒当たり120コマで撮影したビデオ解析と照合したところ,整合性ある結果が得られた。

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© 2017 日本霊長類学会
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