2050年までに80%の確率で起こるとされるM8.4級の南海地震津波に対し, 防災施設の新設は困難との立場から, 既存の水門や陸閘の津波浸水防止効果を高知県のU町を対象とした津波数値計算により検討した. その結果, これらの門扉が津波到達までに閉門できれば浸水範囲の低減や津波浸水開始時間を遅らせる効果があることが証明された. 一方, 多くの集落で門扉操作者の安全が確保できない場合があり, 操作を含めた門扉の管理・運用方法の改善が必要との結果が得られ, さらにこれらの門扉を有効に活用した具体的な防災対策について提示した.