強固に成層化した中海では密度界面の振動が下層の流動に影響する. 中海には窪地が点在しており, 窪地内は貧酸素化しやすい. また, 大橋川へ流入する中海の塩水が宍道湖の水質に関係している. そこで, 下層流れと界面の挙動との関係に着目し, 窪地内の流動と, 下層塩水の大橋川への流入機構を検討した. そこで次の知見を得た.(1) 葭津沖の窪地は狭く深いため流動が生じにくいのに対し, 米子湾の窪地は比較的大きいため流動性が高い.ただし, 窪地内の水質には界面振動による水交換の影響は小さい.(2) 気象平穏時には下層塩水は浅水域を乗り越えられず大橋川に流入しないが, 低気圧通過に伴う西~北西風によって大橋川側で界面が上昇し流入する.