海岸環境の変化を考える場合, 海浜地形の変化に劣らず底質の質的変化が重要である. 本研究では, Kamphuis (1986) の漂砂量係数K1と底質粒径Dの関係 (K1∝D-1/2) 及び海底の交換層内での粒径毎の含有率を漂砂量式に組み込むことにより, 汀線形状の変化と底質の分級効果を同時に予測可能なモデルを開発した. 数値実験の結果, 汀線変化は粒度構成に応じて異なることが明らかとなり, 粒径の分級作用が再現できた. さらに, 現地データによりモデルの妥当性が確認され, 本モデルが十分に実用に供せられることが示された. このモデルにより沿岸方向各地点の粒度組成の予測も可能となった.