2002 年 49 巻 p. 481-485
河川工学の分野で藤田ら (1995) が提案した有効粒径集団の概念, すなわち河床勾配に応じてその河道を構成する河床材料の主な成分が異なるという概念を, 海岸での現象に拡張した. 具体的には, 河口デルタの海岸線変形を対象とし, 沿岸方向での粒径の分級作用と, それに応じた汀線変化を予測可能とするモデルを構築した. その結果, 河口デルタでは沿岸方向の汀線勾配に応じて堆積粒径が異なることが明らかとなり, 河川と海岸での土砂移動について高いアナロジーが成立することが分かった. 本研究により, 河口・海岸域を含む水系内での合理的な総合土砂管理を行う手法が開発された